14. 下呂温泉から飛騨高山まで | 宿屋のおやじ日記

14. 下呂温泉から飛騨高山まで

翌朝 ゆっくり朝風呂に入り 酔いを醒ます。

今回の研修には 向い酒がお好きな先輩はおられず 朝食後 ゆったりと

時間を過ごす。国鉄 (こういう名詞を使用しながら いつか著名人が「昭和

は遠くなりにけり」等とため息をつかれたりなんぞ されるのでしょうか・・・

・)車内で出合った 世にもめずらしい営業マンのお話。が主題です。


駅を出てからしばらくウトウトと居眠り。フト目が覚めると Y蒲鉾のI藤専務

(当時)が同じ列車のお客様に名刺を配っていらっしゃる。

4人掛けのシートではない全席が向かい合わせの車両だったから グルリ

と首をまわせば 一目瞭然。「こういう者です。ここでお会いしたのも何かの

御縁。どうぞよろしく」と一言、ひとことはっきり挨拶されているではないか。

(すごい。さすがだ。早速見習おう)とポケットを探したが なんと自分の名刺

がない。詳しくいうと数枚しかない。今なら余るほど持ち歩くのに当時は

この程度の認識しかなくて、これでは一緒に回っても すぐにネタが切れて

しまう。どうやら昨夜の団体さんに配りすぎてしまったようだ。残念ながら

仕方ない、と判断。しばし様子を見ながら 席に帰られるのを待った。他の

皆はグッスリ白河夜船だから セールスのコツか何かを聞き出したいと思って

いた。

じっくり観ていたら どうも様子が ヘン。御本人ではなくて 名刺の様子が変

なのである。 時々 青が出る  黄もある。又 縦もあり 横もあり。(これは

ますます すごい。瞬時に相手を判断し 配る名刺を変えて 出されている

のか? セールスの達人なんて本も読んだが こんな 身近に存在されていた

のだ。これは、心持ちを聞いただけでも この研修に参加した意義がある)と、

嬉しくなって 席のご帰還を待った。  で 勇んで聞いてみたら


「いや別にコツなんかないよ。昨日 広島のパーティでもらったものを配って

いただけだよ。」と 涼しい顔。今度はこちらがビックリ。 「エッ、もし相手が

アポイント(このくらいの単語は当時でも知っていた。は、念のため)に連絡

されたら どうするんですか。」と 思わず詰問調になる。「まぁ いいから。

いいから。大人数が 双方入り乱れての 名刺交換会だつたから、大丈夫

だと思うよ。」って どこがどう大丈夫なのか、分かりませんでしたが 一人で

喚起 興奮した自分を 少し恥ずかしく感じたボンボンでした。