引っ越した先の私の部屋は
東向きの三階にある。
前が小さな川なので遮るものがなく
朝日が燦々と降り注ぐ。
引越してから数日後の早朝、対岸の家
の屋根の上でヒバリが鳴いていた。
私はヒバリがどのような姿をしていて
どう鳴くのかなどわからないのに、
なぜか、ヒバリだ!と思い、
ベランダに出て姿を確認したのだった。
ネットで確認するとやはりヒバリ。
たしか春に鳴く鳥だと記憶していたが、
10月でも暖かかったら
鳴くこともあるそうだ。
奴(ヒバリ)は毎朝、朝日が差すと共に
鳴き出す。あらゆる方角をくるくると向いて
鳴くのだ。なかなかのええ声である。
朝は大概、しんどくて辛い。
だから、爽やかさを感じたり、
朝だ!元気だ!
みたいな気分には絶対にならない。
その私が、毎朝清々しさを感じている。
朝日は透き通っていて輝いている。
初老の私は初めて知った。
そして、鳥の鳴き声はずっと聞ける。
こんな綺麗な音がこの世にはあるのだ。
どんな心の貧しい生活をしていたの
だろうと笑ってしまう。
朝がこんなにも
素晴らしいとはわからなかった。
奴(ヒバリ)はいつまで対岸の家の
屋根の上に登場してくれるのだろう。
鳥ごときに私は慰められている。