ニューヨーク、クイーンズで内科の研修医をしています。
私のインターンイヤー(研修医1年目)が終わろうとしています。
最初で最後の同僚での全員集合写真。(2人は1年だけの契約なので)
日本で医学部を卒業したのが2007年。
その後モデルに挑戦し、プロのモデルとして生きてきて
臨床経験はゼロ。
アメリカで医師になる事について色々な方に相談しましたが、
「そもそもマッチング(研修プログラムへの就職)自体が難しい」
「万が一マッチ出来たとしても、ついていけず、クビになる可能性も高い」
という意見が多く、非常に厳しい挑戦でした。
しかし、クビになる事なく、無事2年目に進める事になりました。
やったー!
そんなわけで、アメリカで臨床研修をしたいけど不安、という方を勇気づけたいと思い、この記事を書いています。
インターンとは
医者であり、且つ秘書である。
これが1年を過ごした私の感想です。
ではまず、誰もが不安に思う事について。
1. 最初は治療法、マネジメントの仕方が分からなくても大丈夫。
そもそも、誰もインターンが最初から正確に治療やマネジメントが出来る事を期待していません。笑
とりあえず、最初は報告が出来れば大丈夫です。
「○○さんの聴診で喘鳴が聞こえます」
「○○さん、熱があります」
なんなら
「○○さんの様子がおかしいんです」
でも。
とにかく最初の1ヶ月くらいは報告さえ出来れば対処法を教えてもらえます。
薬の用量や投与回数などは学校で習わないしね。
やがて「あなたはドクターでしょ?あなたがどうしたいかを教えて」と言われるようになります。
時間の経過とともに、自分でプランを立てて、それをシニアレジデントや指導医に確認するという形になります。
2.秘書業をきちんと出来る事が大切
インターンの仕事は多岐に渡ります。
- カルテを書く
- ナースからのpage(ポケベルの事。アメリカでは未だにポケベルを利用している病院も多い)に答える。
- 指導医に指示されたオーダーを入れる
- 患者さんの普段の服用薬を家族や薬局に確認する。(Med recと呼ばれる仕事)
- 必要があれば、患者さんの主治医(primary care physician)に連絡し、既往歴の確認、過去の検査結果等を取り寄せる
- 患者さん自身と家族への病状のアップデート
- 各コンサルタントへの連絡
- 指導医へ患者さんの様子や検査結果のアップデート、立てたプランの確認
- 死亡宣告
- 死亡確認書の作成
- 退院サマリーの作成
- 患者さんを別の病院に搬送する場合は、搬送に必要な書類の準備
- 治療拒否する患者さんの説得
「これ、医者じゃなくても出来る仕事なんじゃ...?」
と誰もが一度は感じるのではないでしょうか。
でも、やはり基本的な医療知識がないと患者さんや家族への説明などは難しいし、医者じゃないと出来ない仕事なんだろうと思います。
こういった細かい仕事が多く、それをもれなくこなす事が大切となります。
最初は教えてもらえるので、それをきちんと覚えていけば大丈夫。
(どの職場でもたぶん同じ?)
一度覚えたら、先回りして書類の準備や必要なオーダーなどが出来るようになればなお良し。
3.仕事の優先順位付けが出来るようになろう
とにかく細かい仕事が多く、必死にこなしている途中に
ナースから「○○さんが痛みを訴えています」とか
「○番に薬局から電話です。」
「○○さんの家族がドクターと話したいと言ってます」
など、さらに仕事がどんどん降ってきます。
これらに優先順位をつけて上手くこなしていく事が大切になります。
例えば...
- コンサルトや検査のオーダーは最優先で。
- 薬局やCTからの電話は短時間で終わるのですぐ取る
- ラウンド中に家族などから電話がかかってきた場合は、クラーク(医療事務員)に番号と名前を聞いてもらって後でかけ直す
- 胸痛や血圧低下など危なそうな報告への対処は速やかに
- ナーシングホームやリハビリ施設へ退院する患者さんの退院サマリーは早めに仕上げる
など。
では、また思いついたら書きますね。