昨年7月よりニューヨーク、クイーンズ地区の病院でレジデント(研修医)をしています。

今日からもともと設定されていた2週間の休暇なので、久しぶりにブログを書いています。
日本に一時帰国するつもりでしたが、もちろんキャンセルです。


クイーンズはニューヨークの中でも最もコロナウイルス感染の患者数が多い地区です。

写真やビデオをSNSにあげる事は禁止されていて、また取材やインタビュー等も病院の許可が必要なので、個人の日記としてお届けします。


当初コロナウイルスは
「若い人は風邪の症状程度、危険なのは持病のある高齢者」という事が言われていましたが、
それは嘘です。

毎日30代40代の持病の無い人が重症化して搬送されてきており、呼吸状態が悪化して気管挿管される人、亡くなる人もいます。

うちの病院では会議室にベッドを入れて病室にしたり、普通の病棟をICUに変えたりしてベッド数を増やしていますが、それでも全然数が足りません。

関連病院の中で患者数の少ない病院にどんどん患者さんを搬送していますが、それでも毎日大量のコロナ患者がED(救急救命室)に押し寄せています。


若い人を含め、毎日たくさんの患者さんが亡くなっています。


悲しいのは、例え危篤状態になっても、亡くなっても、家族が患者さんに会う事は一切出来ない状態という事。(コロナ感染のリスクがあるため)

つまり、息切れなどで救急車を呼び、病院に運ばれる際は
その家族に会えるのは「人生で最期になるかもしれない」と覚悟して送り出さなくてはならないんです。

実際、数時間であっという間に呼吸状態が悪化し、挿管、そして死に至る人も多いのです。

また意識が無い場合、治療や手技の同意を家族から取るのですが、
家族もまた別の病院に搬送されて重体のため連絡が取れないという患者さんも多いのです。


本当に、悲しい事です...。

皆、基本的に「人を助けたい」という思いから医師になっているので、全力で治療にあたっても
その甲斐なく多くの人が亡くなっている今の状況は
精神的にも大変ストレスフルです。


心から死に怯える人を見るのも辛いです。
「お願いします。死にたくないんです。助けて下さい!」と死の恐怖に怯えた患者さんに懇願される事も多いのですが
これといった効果的な治療法もまだ無いし、
「全力を尽くします」としか言えない状況...。


仕事量も増えていて、忙しさから喧嘩が勃発する事もしばしば...。

私も不眠になったし、毎日のように悪夢を見ます。今日も悪夢でいったん起きた後、眠れなくなってしまいました...。


我が病院で初めてのコロナ陽性が出たのが3月の2週目。
ものすごいスピードで患者数が増え、ほんの数週間ですっかり世界が変わってしまいました。



日本も感染者が増えてきているそうですね。
とにかく不要な外出、人との接触は絶対に避けて欲しいです。


マスクをしなかったり、外で人と関わる事は
自分の大切な誰か または
誰かの大切な誰か
を命の危険にさらしている
と自覚すべきです。


ちょっとした軽率な行動が誰かの命を奪う事もあるのです。
恐ろしいウイルスです。

ニューヨークでも食料品の買い物や公園でのジョギング、ウォーキングは許されていますが、

・2メートル以上の距離を開ける事
・マスク、スカーフ等で鼻や口元を覆う事

を徹底して欲しいです。


そんな私も実は夫婦ともに3週間前にコロナに感染してしまったのですが、今はすっかり回復し、先週から仕事に復帰しています。
(娘と義両親とは完全隔離生活を送っていました)

悪化しなくて良かったです...。

どんな症状だったのかなど、
休みの間にまたお届け出来たらと思います。


●最近の出来事

先日は「National Doctors’ Day」でした。
コロナで大変な中全員にお花のプレゼント。
心温まる瞬間でした。