京劇の肉体表現… | 好事家、チャン・チンホイ

京劇の肉体表現…

どこの国の芝居も宗教との関係は切っても切れないもんでして、神前で舞うことから始まり…。

京劇はそんなに歴史のあるモノでは有りません。
その前身である歴史の長い芝居が幾つもあります、その芝居のイイ処どりで切り張りして出来上がった芝居が京劇と言う訳です。

簡単に書きました。

で…台湾で寺廟を幾つも巡ることが出来ました、其処此処に大きな廟、小さな祠がありました。


福徳宮 福徳宮・中 福徳宮1 《台北・福山、福徳宮》

京劇よりも歴史の古い廟もあります、その中の神像をシッカリ観察させていただきました。

中には有名な逸話もあります。
関聖帝君(関羽)の像は、彫師が名優の関羽芝居を観てイメージを膨らますと言う話…以前にも書きました。

しかし、もとは全く逆だったようです。
寺廟のお像を役者が観てイメージを膨らませミエの形を造り出したようです。

中国の伝統劇、特に京劇いりも歴史の長い芝居に見られる傾向として…廟に祭られるお像、お香で煤け黒く光っています…その格好はまさにミエです。
一ケ所、二ケ所の廟だけではありませんで幾つもの廟のお像がそうでした。

"身体を捻る"のは中国の伝統劇の特長です、歌舞伎と大きく異なる部分だと思います。
また、指の使い方"蘭花指"も仏像、そして仏教の印をつくる時の指を手本にしています。

《天女散花》という芝居は、壁画の天女の格好を所々に取り込み見せる芝居です。
関羽がなぜ半目で演じられるか、ここぞという時に目をカッと開くのか、廟内にお祭りするお像に関係しています。
仏像、道像(?)の神々は殆どが半目をしています。
…神が使役する鬼神、霊獣、妖怪は逆に目を大きく開き悪気を睨み付けていました。

京劇にも神話劇は幾つも有りますね、やはり道教、仏教が土台なんだとつくづく感じました。
かつての名優、梅蘭芳師も敬謙な仏教徒だったのも有名なお話っすねぇ。