裏庭日記 -5ページ目

お引っ越し

ページをシンプルにしたくて、お引っ越しをしました。
大きな違いはありませんが、新しいページは下記のとおりです。

新しいページ

更新ペースはいつものとおりです。
よろしくお願い致します。

地図

昨年の夏の終わり頃、家に連れてこられたオモチャカボチャ。
乾燥がうまく進まず、とうとうカビの住処として、その体を乗っ取られてしまった。
この斑点状のコロニーは、私達がほんのちょっと目を離しているすきにどんどんその範囲を広げていく。
C’s Foggy Back Garden
かびの群生しているその状況は、一見気持ちの良いものではない。
背筋がざわざわするような変な気持ち。
それは、木肌に群がる虫の大群に出会った時や、害虫に殺虫剤をかけた瞬間の、あの息が出来ないようなショックな気持ちにも似ているように感じる。
それは、自分がそのもの達に対して「恐れ」を感じているからなんだと、最近思うようになった。
小さくとも「生きているもの」「生きようとするもの」たちの、なまなましい命の閃光に対面したとき、私は鳩尾の真ん中に、彼等からの何かを叩き付けられているような、投げ入れられているような気がしてしまう。
そんなときいつも、同じ命を分け与えてもらってる身として、はたして私は彼等のように生き得ているのかと、自分が恥ずかしくなる。

「恐れ」というのは「畏れ」にも通じているという話をどこかで聞いたことがある。

 畏れ敬う気持ちで彼等を見たとき、初めて人間の心に感動という作用が起こる。

私もこのカビカボチャを新しい気持ちで見つめてみよう、、、
すると、斑点状のコロニーは開発の進む町並みのように、カボチャはその状況をを受け入れた大地となった。
私達の時間の何倍もの早さで進む小さなもの達の世界は、膨らみ続ける鳥瞰地図のようだ。
大地の力のある限り、広がり続ける町並みは、やがて地表の全てを覆い尽くし、地中へとその足を伸ばし、さらには地上をもっと上へ上へと手を伸ばし範囲を広げる、、、
やがて大地の全てを食べ尽くすと、町並みも同じ、音もたてず、真っ白な始まりの場所へと戻っていく。



夜の飛行機からは、無気味な光を放つ菌糸の地図を見ることが出来る。
あの光は、戻るべき処へ正しく向かうことができるのだろうか、、、
私も含めて、、、








雪と浮く

冬、この町は、上空の雲と一つにつながる。
今日のように、雪が一日中降り続ける日、私達は雲の中にいる。

雲の柔らかな欠片の一枚一枚は、地上にはり巡らされた灰色の菌糸を白く覆い清め、
地中に住うモノ達を暖め守り、次の季節、私達に喜びの香りをつれてきてくれる。

まだ癒えない悲しみが詰め込まれた石の上、小さな雲の子供は柔らかな笑顔をたたえ、丸く体を縮めてこちらを見た。

C’s Foggy Back Garden 雪降る夜(家の前にて)。散歩の犬は嬉しそう。