スマホでネットばかり見るのも疲れてしまって、数日前から久々にじっくりと本を読むようになりました。
読んだのは宮沢賢治の本。
その中に「ひかりの素足」という話があって、登場人物の一郎とその弟である楢夫がちょっと好きです。
いいなと思ったのは最初の山小屋の場面。
それがこちら↓
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「ほう、すっかり夜ぁ明げだ。」
一郎はひとりごとを云いながら弟の楢夫(ならお)の方に向きを直りました。
楢夫の顔はりんごのように赤く口を少しあいてまだすやすや睡っていました。
白い歯が少しばかり見えていましたので一郎はいきなり指でカチンとその歯をはじきました。
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可愛らしいというか面白いというか。
この場面を読んで
「どこの世界に寝てる弟の歯をはじいて起こそうとする兄がいるんだ!」
と思いました。
わたしにはこの様子からなんだか何とも言えない優しさを感じます。
男の人は必要最低限の言葉しか話さず誰かの体に触れようとすることは滅多になくて、身内なら尚更だろうと思うのがわたしの考え。
でも一郎は違う。
その後を読み進めていくと、霜焼けで赤くふくれた楢夫の手を両手で包んで暖めてやったり、楢夫が泣けば「何した、楢夫、腹痛ぃが。」と言って心配したり、峠を越える際に雪に降られた時も楢夫を抱きしめたり…。
なんて優しいお兄ちゃんなんだろう(*´ω`*)
そして仲良しな兄弟です。
まだ全部読んでないけど、一郎の優しさと楢夫の可愛さが好きになりました。
こんなに温かで優しい場面があると
「宮沢賢治もこんな心を持った人だったのかな…?」
と思います。
◇◆終わり◆◇