1. 2018年 中国薬店市場の現状
2019年5月16日にIQVIAより発表された中国薬店市場規模(2018年)は、1,883億元に達した。昨年度と比較するとその増長率は4.2%で、以前市場としては拡大を続けている。
中国薬店市場における処方薬の割合は45%、市場規模は847億元を占める。
処方薬をメインに内訳を見てみよう。
2018年 中国薬店市場規模全体:1,883億元 昨年比+4.2%
処方薬 45%(847億元、昨年比+6.9%)
ü 西洋薬:33%(621億元、昨年比+8.1%)
ü 漢方薬:12%(226億元、昨年比+3.6%)
上記の通り、薬店市場における処方薬(西洋薬)の伸び率は高く、薬店で処方薬を購入する中国人患者が増えてきている。
上記で紹介した中国薬店-処方薬だが、売上Top 20社がこの市場の38.1%を占める。
Top 20社に外資系製薬企業は10社を占めている。
ファイザー(1位)、AstraZeneca(2位)、バイエル(3位)、サノフィ(5位)、ノバルティス(7位)、ノボノルディスク(8位)、MSD(9位)、イーライリリー(12位)、ロシュ(15位)、メルクセローノ(17位)
2. 欧米企業の取り組み
中国薬店市場-処方薬においてトップだったファイザー社の製品について、いくつか調べてみた。
リピトール(一般名:アトルバスタチン、高コレステロール血症治療薬)
ü 薬店売上:15億元(市場シェア 75%)
ü 病院売上:48億元
ü 特許切れ時期:2011年
ノルバスク(一般名:バルサルタン、高血圧症治療剤)
ü 薬店売上:15億元(市場シェア 83%)
ü 病院売上:17億元
ü 特許切れ時期:2007年
上記で紹介した通り、欧米各社は中国薬店-処方薬市場においても高い売上を有しており、病院だけでなく、薬店や患者に対する様々な活動を展開している。欧米各社の取り組みとして、以下のようなものが挙げられる。
【患者教育】
衛生部や北京社区衛生協会と協力し、60の社区・10万人の住民に対して糖尿病に関する患者教育活動を実施。
【薬店グループとの提携】
国薬集団や九州通といった中国系薬店グループとの戦略提携によるプロモーション展開。
【薬剤師への資材提供】
薬店向けに、薬品の安全性・効果を説明した資料を提供。
3. 日系製薬企業の今後の取り組み
これまで、「中国薬店市場の現状」や「欧米企業の取り組み」を紹介してきた。
誤解されないように言うと、弊社は“薬店市場への積極プロモーション”を推奨している訳ではない。ただこれまで挙げたような慢性疾患処方薬は、分級診療など患者さんの動きも変わってきており、“以下のような全体に対して、どのように治療効果を発信していくか?”、これを検討していくのが面白いと考えている。
<慢性疾患薬に関する治療効果の発信検討フレーム>
また欧米企業の取り組みにもあったが、製薬企業単独ではなく、卸・薬店グループ・病院・地域団体等とも連携しながら、慢性病患者さん達の治療へ貢献できるよう検討してくのも面白いのではないだろうか。
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