4+7政策による回収リスクの低減

 

周知のとおり、4+7帯量購買が全国展開された。製薬企業に対する薬価面での影響がフォーカスされがちだが、医療機関においても以下のような要求・変更点が出ている。

4+7帯量購買政策下では、医療機関は早急に購入分の支払いを行わなければならない。

・医療機関の資金繰り圧力を緩和するため、医保基金から医療機関に対して、購入予定の30%分に当たる医保償還を前払いする。

 

医薬品生産企業にとって、これまでは卸とリベート条件などを協議・契約締結することで、回収リスクを回避してきた。上記は、この回収リスクが低減していることを指している。

今後4+7帯量購買政策の対象製品が更に広がる場合、卸が商流上入らず、製薬企業と医療機関が直接代金のやり取りを行う方法に変わっていくかもしれない。つまり、一票制導入の可能性が高まっているということだ。

 

 

既にある兆候

 

201711月、安徽省で《安徽省公立医療機関の医療用消耗品購買における“二票制”実施意見書(試行)》が発表された。そこでは、医療用消耗品について二票制を普及させることが明確に規定され、同時に“一票制”も推奨されている。この文書は医療用消耗品に限った話だが、これが医薬品分野に広がらないとは言えない。

 

また同月、製薬企業の資金回収遅延問題を解決するため、浙江省で医療用消耗品購買の新たなプラットフォームの試験運用が始まった。浙江省の“三流合一”(情報流・資金流・物流)という最終目標を実現するために、一票制の導入は必要だと言う関係者は多い。

 

既に一票制の推奨を表明している省として、福建省・浙江省・湖北省・山西省・陝西省・天津市・山東省などの11の省市が挙げられる。

 

 

二票制から一票制に移行することで何が起こるのか?

 

二票制が実施された際、それまでの構造が変わった。小規模流通企業の多くが市場から淘汰され、業界の集中度は大幅に高まった。今では、全国の医薬品流通市場の83.2%を、2018年第1-3四半期の売上高トップ100の流通卸企業が占めている。

 

二票制から一票制になると、医薬品生産企業は医療機関と直接精算することになり、流通卸は商品配送の機能のみを受け持つこととなる。

また、二票制では在庫品の管理によるリスク(返品等)があったが、一票制では購買プラットフォーム上での直接取引になるため、そのリスクは軽減されるであろう。

 

配送の面では、(郵便局)(大手物流会社)が医薬事業部を立ち上げて、市場参入してきている。流通会社への報酬も、卸利益X%という算出方法から、荷物の重量・体積及び配送距離等を基に算出する方法へと変わっていくと考えられる。

 

一票制実施の到来に対して、引続き注視していきたい。

 

以上