匿名希望 (2016)

Scream (2016)


という訳で、マイ最高のロックンローラーである人時さんにご登場戴いた。 

アコースティックとインストゥルメンタルのミニアルバム。ゲストミュージシャンも無く、完全なソロ作品と云える。


アコースティックの方は、トーシロのヨレヨレ感ある歌満載だが、アコースティックギターとベースが小気味よく利いていて、聴き苦しいことは無い。

一曲だけ激しい『真夜中に』は、一つ二つしかないこれまでの歌入り傑作の内の一つで、全編快速だが、特に5弦ベースによるギターソロに胸が熱くなる。ピック弾きに拘る人時のオハコだ。あるギタリストに憧れてバンドを始めたらしく、その辺りの拘りもあるのだろう。 

あの伝説的名曲『紅』を超える楽曲でもある。紅は、人生で最初に耳にした大傑作だ。X JAPANは、今では大したバンドとも思っていないが。 


インストゥルメンタルでは、それらを更に超える最高クラスの曲がある。 

人時の楽曲群から察するに、ノーテンキで楽天的な性格なのだろう、元V系特有の暗い美しさはあまり感じられないが、かえって新鮮な響きがある。 

それにしても、人の心をリズムに乗せるだけでなく、ベース一本で感動させてしまう人間がどれだけいることだろう。私は一人しか知らないが。 

今でも現役の人時だが、これが最後のアルバム一歩手前で終わってもおかしくはない。 

CDの時代も終わりつつあるが、むしろハードロック系ベーシストの限界と言うべきではあるまいか。



SSS