◉町田樹
日本の男子シングルは長い間、高橋大輔頼みでした
本来なら、町田樹や無良崇人世代がポスト高橋に名乗りを上げるはずだったのに、それがどうもパッとしないでいました、、、
パッとしないまま、次の世代の羽生結弦やさらに次の宇野昌磨に注目が集まり始めた頃になって、突然、町田樹は覚醒したのです
これには結構びっくりした
オリンピック前後の2年間、独自のワールドを繰り広げ、ソチ5位入賞、世界選手権2位表彰台まで登り詰め、いざ「極北」という矢先に、またもや突然、燃え尽きた、、
なぜこのタイミング?!とも思ったけれど、彼にしてみればあれが最高の引き際だったんでしょう
彼は決して天才肌ではないし、アスリートとして特に恵まれたフィジカルやメンタルの強さを持っていたわけでもありません
どちらかというとクソ真面目で、理屈屋で、変に現実的で、言ってしまえばおもんないタイプだったに違いないのです
これまで伸び悩んでいた原因もおそらくそこにあったはずなのに、ある時そのマイナスをすべてブラスに転じて、力に変える術を知ったのです!
持っているものは同じはずなのに、使い方次第で弱点が武器に変わる、、、不思議ですね
いったいどんな魔法を使ったんでしょう、、、???
「氷上の哲学者」として輝いたこの2年間は、花道を飾るためにフィギュアの神さまから授かったブレゼントだったのかもしれません
◉ミーシャ・ジー
先シーズンまでは、採点ルールもなんのその、減点覚悟で自分のやりたい表現をとことん貫き通してきた強者です
個性的なキャラもあってか、意外にも多くの共感を得てきた彼が、今シーズンは“点数が取れるスケート”に取り組んで、見事に世界6位入賞を果たしました
技術を磨き、ルールを守り、「点を取る」ことにこだわり始めた彼を、「芸術家からアスリートへ転向」みたいに言う人もあったけれど、決して芸術性を捨てたわけではないと思います
自分の演技を多くの人に見てもらうためには、常に世界のトップクラスにいて注目度の高い試合に出続けなければならない、そのために自分にできることを精一杯やってきた結果なんだろうと思います
技術的な要素がより重要視される中で、彼のような型にはまらない独特の感性を持った選手が、トッブスケーターに仲間入りできたというのは、とても意義のあることだと思います
いろんな個性が同じ舞台でぶつかり合う多様性こそ、フィギュアの魅力だと思うからです
この日のSPのために伸ばしていたヒゲは、
翌日のFSではきれいに剃られていました
このこだわりがジーさまクオリティ☆
◉エリザベータ・トゥクタミシェワ
各国で世代交代が進んで、気がついたら今シーズンの女子シングル表彰台は、シニアもジュニアもロシアの選手だらけ…しかもみんなまだ10代という若さ!
世界選手権には、去年あれほど世間を騒がせたソトニコワとリプニツカヤの姿はなく、全員初出場の選手ばかりというのも驚きでした
エース2人がケガや不調で前線を離れても、表彰台に登れる選手はいくらでもいる、それほど今のロシアっ娘軍団は強いのです
その中でも、新女王となったトゥクタミシェワの存在感はダントツで、今後の女子シングルの流れを握る中心人物になりそうです
なにしろ、これまで浅田真央にしか跳べなかったトリプルアクセルを、世界選手権の大舞台で決めてみせたのです
これは大事件です
今シーズン大ブレイクした樋口新葉もトリプルアクセル挑戦を明言しているし、何人かのジュニア選手も本格的に練習を始めていると聞きます
女子もいよいよトリプルアクセル時代に突入か?!
もしそうなれば、浅田真央の負けず嫌いにも火がつくかもしれない…
真央ちゃんが現役復帰したら、女子シングルの勢力図もまた混沌としてくるでしょう…
本当にそうなるかどうかは、トゥクタミシェワが今後も安定してトリプルアクセルを跳び続けられるかどうか、そして新葉とのトリプルアクセル対決が実現するかどうか、にかかってくるんじゃないでしょうか
そんなことを今から勝手に想像してワクワクしています
劣化の速度も速いのでは?と少し心配…
◉樋口新葉
その樋口新葉は、まだ14才のジュニア世代ですが、今シーズン最も注目を集めました
「新葉」と書いて「わかば」
美しい和歌でも詠みそうな文学的な名を持つ早熟の天才少女
その滑りはさぞや優雅で繊細な、、、と思いきや
うりぁぁぁぁぁああああああ!!!!という感じのかっとび系な滑りをします
ものすごいスピードからくり出す豪快なジャンプが持ち味という、、、
ギャップ萌えですね
宮原知子のような寡黙にコツコツと努力を積み重ねる勤勉家タイプとは対照的に、彼女のような闘争心むき出しのファイター型は日本人選手には珍しいし、予想外のことをやってくれそうで楽しみです
つづく
〓ちん〓