「地球の歩き方」の巻末では、15ページに渡って、歴史や民族、文化、政治、更には参考文献も紹介してある。色々読んでたけど、あぁ、最初にコレ読むと、一番端的で分かり易いかも。

 

李登輝元総統は、本省人(蒋介石による接収前から台湾に住んでた人)初の総統で、日米の教育を受けた台湾民主化の父だから、戒厳令解除・日本語解禁・言論自由化・自由選挙にする中で、それまで排除されていた日本の文化・記憶の特に良い面にフォーカスして呼び覚ました。

 

けれど、ガイド内の日本人による解説はまた味が違う。

 

統治時代は、実はそりゃ反発も多くあった訳で、はじめに抗日闘争の鎮圧に明け暮れた武力統治の数年があり、落ち着いた頃に起きた原住民による凄惨な事件もあり。

 

植民地としては前代未聞の規模でインフラ整備や教育に力を入れ、台湾を大きく近代化させた反面、日本人と台湾人の間で教育や給与の待遇は大きく違ったし、経済的にもちろん本土に搾取されている面もあった。

 

それでも今、台湾が親日家なのは、なぜか。

 

戦後、中国大陸からの外省人(蒋介石とその同伴者達、現在その子孫は全国民の13%、今なお支配階層)による、2・28事件での本省人(特にエリート層・知識階級)の虐殺への恨みと、日本統治時代を経た本省人と外省人とは既に別の文化人であると感じる意識が強いためでもある。

 

あんなに嫌だと思ってた外国人による統治だったけど、同じ民族と思って受け入れた奴らはもっと蛮族で、自分たちの尊敬する人達を次々に殺して行った。しかも蛮行・汚職・差別も酷かった。あぁ、日本の方がマシだった。

 

私達は大陸の奴らとはやっぱり違う。一緒にされてたまるか。となる。

 

では、17世紀に福建省から移住した(それも原住民がいて内乱ばかりでマラリア流行の未開の地へ)本省人と、大戦後にやってきた同じ民族の外省人は何が違うのか。そうか、その違いは日本統治時代だ。ということは、台湾の、国として、人としてのアイデンティティには、その要素は欠かせないはずだ。となる。

 

17世紀以降、日本の前にも、オランダ、スペイン、その後清国に統治されていた。しかし、いずれも疫病と内乱には手を焼いていた。そんな中、アメ(開発と教育と知識層の懐柔)とムチ(軍と警察による統制と時に武力)によって、国を文化的に進展させ、一国にまとめあげたのは、日本だった。すると、大陸との分岐点は、やはり日本統治時代に求めることになる。

 

同じ民族でも。複雑な心理。

 

それから、原住民は今も少数部族がたくさんいるのだけど、その合計人口なんと45万。80年代以降ようやく原住民の文化を振り返り、後世にも伝えようという動きも起こっているらしい。

 

と、ここまで、「地球の歩き方」流、日本に対して割と淡白に捉えながら台湾の歩みを振り返る一方、それでも改めて思い起こされるのが、後藤新平や八田与一に限らず、台湾人から慕われる沢山の尊い日本人達。彼らのような人達がいたからこそ、そして今なお台湾の人が大事に語り継いでくれるからこそ現在進行形の親日があるんだな、と感慨深く思ったり。

 

【世界を感動させた日本】台湾で神になった日本人 漁民に寄り添い自決した巡査 - ZAKZAK
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140225/dms1402250719000-n1.htm