環境に優しい肉の選択肢として「ヘビ肉」が有望
『牛や豚などの肉は人間にとって貴重なタンパク源ですが、畜産は温室効果ガスの主要な排出源のひとつであるため、近年では環境のために肉の消費量を減らしたり、昆虫食に切り替えたりする必要があるという主張も強まっています。
そんな中、オーストラリアやベトナムなどの研究チームは、牛や豚などの主要な食肉より環境に優しい代替品として「ヘビ肉」が有望であるという研究結果を報告しました。
「環境のことを考えれば牛や豚の肉を食べるのを控えた方がいい」とわかっていても、いきなり菜食生活に切り替えることは大変であり、タンパク質の摂取量が不足して健康を害してしまうリスクもあります。
また、昆虫食や人工肉などの代替策も提案されていますが、一般に普及する上でさまざまな課題があります。
そこでオーストラリア・マッコーリー大学の生物学者であるダニエル・ナトゥシュ氏らの研究チームは、環境に優しい食肉の選択肢としてニシキヘビが有望なのではないかと考えました。
研究チームによると、ヘビなどの変温動物はほ乳類をはじめとする恒温動物よりもはるかにエネルギー効率が高いそうです。
また、は虫類の肉は鶏肉と似て高タンパクかつ味もよく、すでにアジアの一部ではニシキヘビの養殖体制が確立されているとのこと。
研究チームはタイとベトナムの商業農場で12カ月以上飼育され、人道的にと殺された2種のニシキヘビについて調査を行いました。その結果、生産された肉に対する食物の消費量が、その他の畜産動物と比較してはるかに少ないことがわかりました。
生産される肉の量と餌の消費量の比率は牛で「10」なのに対し、豚肉は「6」、鶏肉は「2.8」、サケは「1.5」でしたが、ニシキヘビはなんと「1.2」という結果になりました。
ヘビは他の食肉産業で生じた廃タンパク質でも成長できる上に、数カ月間絶食してもほとんど体重を減らさないでいることが可能であるため、食料や水の供給が不安定な環境での飼育に最適だとのこと。
研究チームは、「絶食したニシキヘビが代謝プロセスを調整して体調を維持する能力は、不安定な環境下での食糧安全保障を強化するものであり、ニシキヘビの養殖が世界的な食糧不安に対する柔軟かつ効率的な対応策になる可能性を示唆しています」と主張しています。
しかし、依然として「ヘビにエサをやる作業は労働集約的、つまり人間の労働力への依存度が高い分野であり、人的コストを省いて大量飼育するノウハウが確立されていない」「ヘビ肉を食べることへの抵抗感を持っている人が多い」という課題もあるため、すぐにヘビ肉が普及するとは考えにくいとのこと。
研究チームは、「人間がヘビに抱いている一般的な恐怖心も相まって、ニシキヘビの農業的可能性が世界規模で実現するのはまだ先のことかもしれません」と述べました。』
地球環境問題を考えると、現在の食糧事情も考えないといけないということだ。
牛肉は世界で人気だが、牛肉を得るために餌代などの費用対効果は悪いのは周知の事実。
また、反芻動物である牛は、ゲップをたくさんする。
牛のゲップはメタンガスをたくさん含み、そのメタンガスは二酸化炭素の25倍もの温室効果があると言われている。
温室効果の4%が牛のゲップという人もいる状態だ。
肉牛を飼うだけで、環境に悪影響を与えているのはデータとして出ているのだ。
牛肉以外で世界でよく食べられている肉では豚肉、鶏肉だろう。
豚肉はイスラム教徒は食べないので、ここでは羊肉も入ってくるかもしれない。
ちなみに羊も牛と同様、反芻動物なのでメタンガスのゲップをするので、温室効果を助長する。
牛肉の代わりに代替肉というものも注目されている。
特に大豆などで代用ではない培養肉が注目されている。
培養肉とは、 動物の細胞を培養して作るもので、動物細胞ベースの代替肉のこと。
味、感覚次第だと思うが、培養肉がどこまで普及するのかは不安定要素がある。
ここではへび肉が有望ではないかと言われている。
生産される肉の量と餌の消費量の比率では牛肉が10に対して、蛇肉は1.2らしい。
そんなに手間暇かけずに蛇は成長する。
そういう意味では費用対効果が良い。
へび肉の味は、鶏のささ身や白身魚のような味と言われている。
味自体は受け入れられる余地はありそうだ。
ただ、蛇が嫌いな人間は多い。
蛇が嫌いな人が、積極的に蛇を食べるのは常識的に考えてないだろう。
食糧危機とか何かのきっかけがないとそんな人達は蛇肉を口にしないだろうね。
いくらたんぱく質に優れているからと言って、イスラム教徒に豚肉を食べさせるのは不可能だろう。
宗教ほど絶対性はないけど、嫌いな動物を食べるという気持ち的抵抗はかなり強いのではないかと想像する。
蛇肉の大々的キャンペーンをしていけば、少しずつ広がっていくかもしれない。
費用対効果がいいという事は、値段も安くなるだろうから、他の肉を変えないような貧困家庭から広がっていく可能性もある。
まあ、貧困家庭でなくても、味的に抵抗がないなら、食費を抑えたい家庭にも受け入れられていくかもしれないね。
「ヘビにエサをやる作業は労働集約的、つまり人間の労働力への依存度が高い分野であり、人的コストを省いて大量飼育するノウハウが確立されていない」という課題に対して、AIを利用したIT技術で農業分野にも改革が行われると思われるので、さほど大きな問題ではない。
へびだけでなく、牛や豚だって人間の労働力への依存度が高いのだから、へび飼育だけの問題ではないだろう。
地球環境を守る為には、今の食糧事情を見直す必要があるが、その選択肢が増えることは良い事だと思うな。