—こんこん

保健室のドアをノックする。

しーん。
あれ?
ここに岡田先生がいるからってカズくん言ってたのに。

もう1回
今度はショウちゃんがノックした。

—こんこん、こん……


「いないのかなぁ、岡田先生」
「新学期の準備をこっちでしていると思うんだけどな。」
「マカロン、どうしよう。早めに食べてほしいんだけど」


ノワールのマカロンは繊細だから
冷たいうちに。

「ん?ドア開いてるぞ」

ショウちゃんは引き戸のドアを開けて中をのぞいた。

「岡田先生?いらっしゃいますか?」
「岡田先生?」

僕もショウちゃんのあとに続いて保健室をのぞいてみる。


がたがたがたたんっ

「マサキ、危ないっ」

ショウちゃんが僕をかばってくれるように前に出て、隣のパーテーションに押し込まれて



「えええっ?岡田先生??」


パーテーションの向こうから
ころころって、
ほんとにころころって音が聞こえてくるくらい

岡田先生が転がってきたとこまで見た。
 






「もうっ
ジュンイチの馬鹿っ」


パーテーションの奥、ベッドに座り込んじゃったときに聞こえた……


ええと、誰の声?