「松島先生って、ほんとに翔ちゃんのファンなんだね。サインあげればいいのに。」
「あはは、なんも持ってなかったろ。」


トウマ先生と松島先生は予定通り居酒屋に行くってさっき別れた。
名残惜しそうにしてた松島先生を
トウマ先生が引っ張っていった。




「そうだ。次のお茶会にトウマ先生たちを呼んであげれば?」

僕はピンときた。
松本さんの教室のお茶会。
そしたらトウマ先生は大義名分で松本さんに会えるし松島先生は翔ちゃんのお茶をいただくことができる。

いいことばっかりじゃない?





「…雅紀、めっちゃドヤ顔なんだけど」

翔ちゃんは僕の顔をじっと見てにこって笑う。

「呼ぶのはいいけどさ、当然雅紀も来るよな。
松本の茶会は土曜日だし。」
「え?僕もなの?」
「当たり前だろ。
オレだって大学入って忙しくなるんだ。
タダじゃ松本の茶会で茶を点てたりしないぞ。」






ああもう、
大学に入学したら
翔ちゃんにすぐに甘えることもできないから
迷惑かけちゃいけない

ちゃんと独り立ちしなきゃって


翔ちゃんに相応しい“おとな”にならなくちゃって決めてたのに
翔ちゃんにも伝えたはずなのに



翔ちゃんって、ずるい。