翔ちゃんと僕が大学生最初のえっち♡をした日から少し遡って。
僕の家で翔ちゃんと一緒に夕食を食べたときのこと。




かあさんが作った料理を僕がテーブルに運んで、翔ちゃんはとうさんとたしか将棋とかの話をしていた。
翔ちゃんは話上手だし、知識もたくさんあるからとうさんも上機嫌で


「意外と気が合うみたいね。あのふたり。」

なんてかあさんと僕は笑った。

かあさんが作った料理を翔ちゃんは
頬袋に食べ物を詰め込むリスみたいに美味しい美味しいって食べてくれたんだ。

そこでまた翔ちゃんの株は爆上がり。
見目麗しい茶道界のプリンス?がもぐもぐ、だもんね。気取ったところもないし。




「櫻井くんの茶会は大人気なのよね。
大学生になったら本格的に活動するの?」
「大人気だなんて。まだまだ修行中ですから。」
「櫻井流は安泰だね。立派な跡取りがいてくれて、お父さんも安心だろう。」
「あはは、ありがとうございます。雅紀くんだって。な。」
「僕?」


いきなり話をふられた僕はなぜかどきんって胸がなった。


「雅紀か。ああ、たしかに跡取りっちゃそうかな。なぁ、かあさん。」
「あら、まだまだ任せられませんよ。」

とうさんとかあさんは顔を見合わせて笑った。
…僕のこと、ネタにしてる。間違いなく。
僕はちゃんとみやび野の和菓子をつなげていくつもりなんだよ。まだちょっと恥ずかしくて言えないけど。

翔ちゃんも僕に優しく微笑んでくれた。