で、
翔ちゃんが残ってくれて
なんか散らかっちゃった僕の部屋の片付けを手伝ってくれて。
やっと落ち着いて話せるね、って向かい合ったところで
—コンコン
ドアをノックしたのはかあさんだった。
「ちょっといい?今から夕食の用意をするけど、櫻井くん、一緒にどうかしら」
「え、そんな時間だっけ?」
「今日はお客さんが多くて、お店も早く終われそうなの。」
「そっか、手伝えなくてごめんね。」
翔ちゃんは僕とかあさんの話を聞いて…ものすごくいい笑顔を見せた。
「いいんですか?せっかくの家族でゆっくりできる夕飯に自分がお邪魔しても。」
「もちろんよ。お父さんも喜ぶわ。それに雅紀がいつもお世話になって、ご飯もしっかり頂いてるし。」
「あはは、ではお願いします。」
「うふふ、大したものはできないけど。決まりね。」
かあさんは上機嫌でキッチンに戻った。
それにしてもほんとに珍しい。
営業終了時間ぎりぎりに来るお客さんもいるし、早めに終わるっていってもすぐ仕込みもあるし。
「雅紀?」
「うん、なあに?」
「雅紀の家で夕食をいただくって、初めてだな。」
「そうだっけ?」
「そうそうそう。初めて。なんかワクワクするな、、、」
「言っとくけど翔ちゃん、うちは松本さんみたいにおしゃれなご飯は皆無に等しいよw」
「皆無って、、、」
「でもね、かあさんは料理好きで上手だからそこは楽しみにしててもいいと思う。」
「…雅紀って」
ん?って返事をしようとしたら
目の前に翔ちゃんの顔。
ち、近いよ、翔ちゃん!?