サクライ店長が戻って3週間。
店長のもともとのお客さまも一通り顔を見せてくれて忙しさも一段落した感じだった。


「…タキザワ店長のお客さまは本店に移ったんでしょうかね。」


マスダくんがぽそっと言ったのは若干お客さまが少なくなったからで
それは仕方ないよ、ってサクライ店長は言った。


「オレのお客さまも来てくれたんだから。
あとは、、、そうだな、若手が頑張ってくれればね。」


ちらり、と僕を見る目がよっつ。

「な、アイバくん。」
「だって。アイバちゃん♡」


サクライ店長と
ちゃん付けで僕を呼ぶニノミヤ先輩が
…面白がってるときはちゃん付けだし。

同時ににっこり笑った。




「というわけで、今日はちょっと残ってもらおうか。カットとカラーの試行で」
サクライさん、、が僕の肩をたたいた。

「え、あ…はい。わかりました。」

サクライさんがにーっこり。


「あ、オレも時間有りありのありっすよ、店長っ」
「キミはちゃんと帰りなさい。半人前のマスダくん♡」
「半人前って…ヒドイなぁニノさ、、」



ニノミヤ先輩はマスダくんの頭を軽くぽかってたたいてヘッドロックをかけた。



「ニノミヤ先輩だろ、ったく。なんならオレの自慢のカットで丸坊主にしたろか」
「いやーっ」



振り返りウインクのおまけ付きでニノミヤ先輩が部屋を出た。


仲いいよな、あのふたり。
…ニノミヤ先輩、ありがとうございます。