マサキのお腹のふくらみが見た目にもわかるようになって主治医の先生から
「来週、赤ちゃんを迎えましょうね。」
と言われたその夜。

マサキのお腹に頬をつけていつものように話しかけてた。

―もう会えるって。楽しみにしてるよ。
オレがパパだからな。

「ショウちゃんたら。言わなくても分かってるって。ボクはおりこうさんだよ。ね。」

とん、お腹の内側からオレの頬に感じる赤んぼの動き。

「ほら。返事してる。


くすくすと笑うマサキがキレイで見惚れてキスをして。







…夜中にマサキに起こされた。


「ゴメン、タクシー呼んでくれる?オレ、ちょっと動けないみたい…」

マサキの服とシーツがぬれて、汗だくなのにひんやりとした指がオレに触った。









―ん、ぎゃ、あぁぁん!ああん…んん

分娩室の前で待つしかないオレに聞こえてきたのは元気のいい泣き声で。

看護師さんに抱かれてきたのはふくふくした赤んぼで

「おめでとうございます。マサキさんもがんばりました。今はまだ麻酔が効いていますが…」

赤んぼを抱かせてくれて、マサキの無事を聞いて

ぽろぽろって涙がこぼれた。
ありがとうってちっちゃな声で何回も言った。






「マサキ?起きた?」

ショウちゃんの声で頭の靄が晴れた感じで
ショウちゃんが頑張ったな、ってなでてくれて

看護師さんがすぐに
赤ちゃんを連れて来てくれて隣に寝かせてくれた。

「う、わぁ…

すやすや寝てて、ちっこい手足が動いてて、
口をむぐむぐってして
かわいいかわいい赤ちゃん。
ショウちゃんとオレの赤ちゃん。

「よろしく。ようこそ。ありがと。」

いっぱい言葉をかけようって思ってたけど、これしか言えなかった。
赤ちゃんがうんってうなづいたみたいに見えて。
嬉しくて嬉しくて



ショウちゃんが
「この子に最初のプレゼントだな。」

今までずっと赤ちゃん、って呼びかけていたけれど。
初めて。はじめて名前を呼んだ。

オレたちの子どもだから。
オレたちの願いをこめて
二人の愛からできてる子どもだから。
二人で決めた名前を。







「よく来たね、しょうまくん。」

しょうまがくふんって眠ったまま返事をした。





ーショウちゃん、幸せってこういうことなんだろうね。
ショウちゃんに愛されて
それだけでも十分だったのに
しょうまが生まれて
オレたちの命が次に続いていくんだよ

幸せだね。ほんとに本気で幸せ。

ありがとね。
これからもありがとね。
しょうまが伴侶を見つけるまで言うには早すぎるかな。
でも


ありがとね。


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櫻葉ファンタジー久しぶり。
こちらも赤ちゃんが生まれるまでと思ってたので


はこちらから。