アルスター(U’lster)~北アイルランドの英語と
アイルランド語が英語に与えた影響 1
12世紀中盤からイングランドを征服したノルマン人がアイルランド侵攻を
計り平定します。彼らはノルマンジー地方のノルウエー方言が残る
フランス語と地場の英語をチャンポンにした言葉を喋り、兵士、従者は
当然、英語を話していました。
ところが、当時はブリテン島からの移住者もそう多くなく征服者や従者も
2代目、3代目になると急速にアイルランド化していきます。
これを危惧したイングランド側は1367年キルケニー(the Stature of Kilkenny)
法を発令し入植者のアイルランド人との結婚の禁止。アイルランド語を話す事を
禁止します。
一方、地理的な近さからアイルランド北部にスコットランド、(特にスコットランド人が多い)
北、北西部のイングランド人がどんどん入植をしていきます。
現在、北アイルランドを形成している6州をアルスター地方と言いますが、
ここは45%がプロテスタントで英国の帰属を未だ堅持したいと考えてる人たちが
いると言うことです。
彼らは、現地のアイルランド人と接触する機会も少なく大地主や銀行経営などをしている
ものが社会的上層部を形成していきます。
従って、この北アイルランドの英語は非常にスコットランド低地部の英語に近いものです
又ベルファスト以南の地域はイングランド北西部の影響も受けています。
その後、初期の米国移民、特に南部大農場で黒人奴隷が導入される前はこの地域から
大量に小作人として移民が海を渡ったと言われます。
一方、現在のアイルランド共和国を形成する南部一帯は2ケ所程入植者の大きなコミュテイー
があったものの、現地のアイルランド人はアイルランド語を話し、カトリック教会の
説法も、聖書の朗読も、讃美歌もアイルランド語でした。