車はマンションの地下駐車場の客専用に駐車した。
「着いたよ。」
あれから少々ご立腹となってしまった雅紀。
ご機嫌を取り戻さないとな。
「雅紀、チョコすげぇ嬉しかったよ。けど俺に会わずに帰っちゃったって聞いてめっちゃ寂しかったよ。俺だって例え1秒でもお前に会いたいと思ってるんだから。同じだよ。」
そう言って雅紀の頭をポンポンと軽く叩いた。
「翔ちゃん…チョコ感想なんて俺どうでも良いの。今日どうしても翔ちゃんに会いたくて…本当は直接翔ちゃんに渡しに行きたかったんだよ。でも翔ちゃんの時間も大切にしたかったからマネジャーにお願いしたんだ。」
「うん。」
「だけどやっぱり会いたくて…」
俺は雅紀の頬に手を当てて引き寄せると唇を重ねた。
「ありがとう。」
「翔ちゃん。」
雅紀の俺を呼ぶ優しい声を合図に重なる唇はもっと深くなりお互いの舌を絡め熱い息と卑猥な水音は車内に流れる曲をかき消す程となった。
透明な糸を引きながら離れそれを手の甲で拭った。
「このまま翔ちゃんちに行きたいって言ったらどうする?」
「え?」
雅紀が潤んだ瞳をまっすぐ俺に向けて聞き俺を困惑させた。
「フフフフ。ウソ、ごめん。そんな顔しないで冗談だから。こうして翔ちゃんといられるだけで俺幸せだから。」
雅紀こそそんな顔をすんなよ。俺だってこのままお前を連れて一緒に夜を明かしたいよ。
でもそんな気持ちを言葉に出来ないまま俺は強く雅紀を抱きしめた。
「愛してるから。」
「……翔ちゃん、明日もオリンピックキャスター頑張ってね。」
笑顔を見せて言う雅紀はメンバーの相葉雅紀に表情が変わっていた。
「あぁ。ありがとな。運転気を付けろよ。」
寂しさを堪えながら車から降りると
「翔ちゃん、来月俺期待してるからね。翔ちゃんからのお返しの愛待ってるよ。」
「おぅ、楽しみに待ってろよ。」
そう言うと俺の大好きな笑顔を見せて車を走らせて行った。
今年も最高のValentine'sdayだったよ。
雅紀からもらったチョコは鞄から出すことはしなかった。
雅紀からの愛は俺だけのもの。
大切に味わうよ。
Whitedayか…何を贈ろうかな。
雅紀が喜ぶ顔を想像しながら眠りについた。
fin.
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ぶいちゃん