いつもそうだ…
舞台の袖に来ると心臓が今にも爆発しそうだ…
「次が俺らの番だな!今年こそ、準決勝に進んでやろうぜ!!」
「このネタは自信ある!!絶対大丈夫だ!!」
相方は、俺にと言うよりは、自分を奮い立たせてるよーに言ってるようだった。
「よっしゃ、俺らの番だ!!いくぞー」
「どうも~」
舞台に出るとそこには、マイクが一本。
今日もたくさんのお客さんが入っているようだった。
舞台にあがると逃げ場は全くない。
目をそらすことも、背を向けることもできない。
後は自分達のネタを信じるだけだ!
「どうも!ジャック・ザ・リッパーこと天野ジャックですっ!!」
「切れ味抜群!!西能ナイフです!!」
「2人合わせてジャックナイフでーす!。よろしくお願いします。」
俺の名前は天野ジャック。26歳。
職業は一応お笑い芸人。ボケ担当。
相方の西能ナイフと『ジャックナイフ』ってコンビを組んで
漫才中心のネタを作っている。
----数週間後----
今日はネタ見せ番組のオーディションの日だった
見事な程にオーディションではスベリまっくてしまい、
帰り道黙りこくっていた俺にナイフが話しかけてきた。
「昨日のM-1決勝戦見た~?」
「観てねーよ。観たって悔しくなるだけじゃん…」
「わっかる、俺も観なかったんだよね。」
「まさか、あのネタで3回戦突破できないとわ…」
「結構自信あったんだけどな…ダメだったな。」
「よし、早速来年に向けてこれからネタ作りするか!!」
「悪い、俺これからバイトなんだわ…まだまだ笑いじゃ飯食えないからな…」
「そうだよな…じゃ、またな…」
この頃は毎日がこんな感じで過ぎていっていた。
同じ学校に通い、元々クラスで笑いをとることが好きだった俺とナイフは高校在学中にコンビを組んだ。
当時のコンビ名は「上越の二丁拳銃」
学園祭で漫才なんかしたりして、学校内ではケッコー人気あったんだぜ!
そして、高校卒業と同時に二人で上京して来て、さすがに「二丁拳銃」はまずいって事で「ジャックナイフ」に改名したって訳!
学校の人気者がお茶の間の人気者になるのは楽じゃないって分かっていたつもりだったけど、あの頃は根拠の無い自信みたいなものがあった。
ただ、成り上がりドラマやサクセスムービーのような奇跡なんて起こるわけもなく
上京してから8年たった今でも、ろくな仕事をもらえないまま、未だに俺らはもがいていた。
つづく。