「シャブ??でておいで・・・・。」
「シャブ??」
ベットの下、キッチン、トイレ、バスルーム…どこをさがしてもやはりシャブがいない。
ピンポーン
「!?」
「貴兄ぃーちゃんと起きてる?」
時計に目をやるとすでに10時を過ぎていた。
やばっ!今はデートどころじゃねー
ガチャ
「夏樹ごめん!今日無理だわ…」
部屋の外で待っていた夏樹の顔が一瞬曇った
「えー約束破る気?」
「実は…シャブがいなくなって…」
「ウソっ!シャブちゃんが!?」
事情を話すと夏樹はすぐにわかってくれたみたいだ。
「すぐに捜さなきゃ!どこか心あたりある?」
「昨日の夜バスケしたコートかな?」
「じゃ、行こっ!」
俺と夏樹はすぐにバスケコートに向かった
バスケットコートはコーポ若葉の近所にあり、走ればたいした距離ではないのだが、
こんなにも長く感じた事はなかった。。
シャブ…お願いだからコートにいてくれよな。
いろんな事があってテンパってたとはいえ、俺は何やってんだよ!
シャブがいなくなったら、俺は…
バスケットコートにつくまで、頭の中でずっと自分を責めていた。
「貴兄ぃ…きっと大丈夫だよ!シャブちゃんいい子だもん!」
おれの気持ちを察したのか、夏樹がやさしく声を掛けてくれた。
………
日曜だというのにこのボロイバスケットコートには、誰1人としてバスケをしている奴はいなかった。
「はぁ、はぁ、シャブー」
「シャブちゃーん」
いくら呼んでも返事は返ってこない。
「ここにもいないね…どこにいるのよ。」
「もしかすると…河川敷か?」
「昨日の夜ストーカーっぽい男に気づかれないよーに河川敷のほうから帰った時かも?」
俺と夏樹はすぐに河川敷に向かった。
………
「貴兄ぃ…昔もこうやって二人で犬捜したことあったよね?覚えてる?」
河川敷に向かっている時に夏樹が急に思い出したように話かけてきた
「は?そんな事あったっけ?」
俺にはそんな余裕がなかったので、ろくに考えもしないですぐに返答した。
「そう…それどころじゃないよね…ごめん」
ほんとにシャブの事で頭が一杯でそれ以上夏樹に言葉を返さなかった
「この子カワイイ♪」
河川敷につくと、小学生くらいの女の子が輪になっていた。
もしや…と思い覗きこんでみるとそこには俺の愛犬シャブがお昼寝をしていた。
「シャブ!!」
「シャブちゃん!!」
俺と夏樹が声を掛けるとすぐに目を覚まし、尻尾を振って駆けてきた。
「よかったーホントによかった」
「貴兄ぃ…よかったね」
シャブを抱き抱える夏樹を見たときに俺はさっきの夏樹の言葉を思い出した。
夏樹がまだ小学生だった頃、学校の帰りに野良犬を拾ってきて飼いたいと言ったが家族に大反対され
て犬をお母さんが捨ててくるという事件があった。
俺は泣きじゃくる夏樹がかわいそうで、夏樹と一緒にその犬を捜した。
結局夜まで捜してもその犬は見つからなかったけど、あの頃の俺は夏樹が妹のように思え、かわいい妹の為だったら、何でもしてあげたいと思っていものだ。
「夏樹…」
「ん?」
「さっきは、ごめんな…」
俺が謝ると、夏樹はあの頃と同じ笑顔で笑ってくれた。
「いいのよ、ホントにシャブちゃん見つかってよかったね♪」
かわいくて泣き虫だった妹が、俺の中で別の存在になりそーな??
それは誰にもわからない。安田美沙子も何してるかわからない。
つづく