伊藤夏樹…
彼女は俺の幼馴染だ。実家の近所には子供が少なく、小さい頃、俺と夏樹はいつも一緒に遊んでいた。周りから見れば兄弟と間違われるくらい仲が良かった。
でも、小学校、中学校、高校と歳を重ねるごとに関係は希薄になっていった。
思春期という男子皆が経験するであろう期間が俺にもあったわけで、ぶっちゃけ一緒にいるのが恥ずかしかったわけで…。
俺は高校を卒業するとすぐ都会の大学に進学した。それから会っていない。
「貴兄ぃ!!またよろしくね!」
「ああ…。」
そっけない返事しかできなかった。俺の記憶の中の夏樹と目の前にいる夏樹の微妙な違いが俺にそっけない返事をさせたのだろう。
キレイになったね!そう言おうとしたが辞めた。
なんか今でも恥ずかしいから。
でも恥ずかしさは次第に薄れ、俺が引っ越してから1ケ月が過ぎた頃には俺と夏樹の関係は昔のそれにほぼ近くなっていた。そして他の住人達とも仲良くなっていった。
そんなある日。
俺は仕事に行く前にゴミを捨てにステーションに立ち寄った。
ステーションにはちょうど学校に行く前にゴミをだしている夏樹の姿があった。
「おはよう貴兄ぃ」
「おお!おはよう」
「ねえ、ねえ、貴兄ぃ」
「ん?」
「明日休みだよね?暇?」
「あー…予定はないけど。」
「じゃあさ、街に買い物行くの付き合ってくれない?」
「おう!いいよ!部屋に1人でいてもつまんないしな。」
「ホント!?絶対だよ。約束したからね。」
「しつけぇな(笑)わかったよ!」
「ヤッター!!じゃあ学校行ってきまーす」
「いってらっしゃーい」
(まぁ、仕事も休みだし、たまには夏樹と遊んでやるか)
軽い気持ちでOKしたものの、この事で後々めんどうな選択を迫られることになるとも知らずに。
「あー疲れた。」
PM12:00
この日は仕事量が多くいつもより遅い時間に帰ってきた。
「お帰り~。こんな時間まで仕事なんか?」
マンションに入り口で誰かに後ろから声をかけられた。
とっさに振り向くと、なんと安○美沙子ではないか。
「あ、こんばんわ。安田さんも仕事帰りですか?」
「そうやで~。もうクタクタや~。」
「大変ですね…」
「でもなぁ、聞いてや。ウチな、明日休みもらったねん!だから今はウキウキなんや~」
「あ、そや!明日暇ちゃう?」
「え?あ、はい。」
「ほんなら、買い物でも行かへん?」
「えぇ!?、俺なんかと一緒でいいんすか!?」
「あったり前やん!隣同士仲良くしよや。」
「なら明日約束したからな~」
そう言うと安○美沙子は部屋に入っていった。
ヤッターーーーーーーーーーーー!!!!!
アイドルとデートできるなんて奇跡や~~!!!今日寝れるんかいな!!!
俺は舞い上がっていた!!!なぜか口調も関西弁になっていた。
ピロリロリン♪
その時携帯が鳴る。メールのようだ…
そのメールを見たときに俺のテンションは急降下することになる。
「明日、10時に部屋に迎えにいくね(^0^)
超楽しみにしてるんだから寝坊しないように♪
夏樹より」
ヤベー!!!!!!!忘れてたぁ!!!
どうする?
どうする??
ドースル????
つづく