「リョウ…でも、それを言ったら俺だって!あのスリーポイントが入っていれば流れが変わっていたはずだ!」


「いや、俺のところから20点取られてんだ!俺がディフェンスをしっかりしてれば良かったんだ」


リョウの話を聞き終えた皆は、あの日から後悔していた事を口にし始めた。決してリョウだけでなく、各々があの試合の自分のプレーに後悔していた。


「ノブがさ…」


「え!?」


その時、静かにヨウスケが口を開いた…


「地区大会を制した夜にノブん家で話したんだよ…ノブはうれしそうに俺にこう言ったんだ。」





『次は県大会だな。俺はさ、早くこのチームを全国の奴らに見せてやりてーんだよ。おまえのパスとタツヤの3Pだろ、マコトのキレのあるドライブからのジャンプシュート。破壊力ハンパないって!!

しかも、ゴール下にはリョウがいるだろ。あいつより高い奴はいても、あいつ程跳ぶ奴なんてなかなかいねーぞ!しかもイケメンだしよ。ハハッ、例え全国の奴らが相手だって絶対負けてないと思うゼ!』


『ん?俺?俺はいいんだよ…俺はおまえらみたいにバスケセンスはないからな。でもな、俺にはリバウンドがある。それだけは絶対負けねー!俺が何回でも拾ってやるから、フリーだったら迷わず打てよな。』


『なぁ、ヨウスケ。県大会も絶対勝とうな!そしてこのチームで全国に挑戦しような!!』





「リョウさ…あの試合負けて後悔してるのは皆一緒だよ。だけど、一番悔しかったのは、ノブじゃねーかな?あいつは、いつもおまえらの活躍を自分の事のように喜んでたからな…おまえらと全国行くんだって言ってたからな」


ノブの話が終ると誰1人としてそれ以上あの試合の事を言う奴はいなかった…




---数週間後---


「かーちゃんこのライラック貰っていくよー」


「いいけどマコト、あんた配達は!!」


「先にノブんとこ行ってくる!」


俺は店先のライラックを手に配達の車で飛び出した。


チャララララ♪


助手席に投げていた俺の携帯だ。


「マコト!決まったぞ!!」


ヨウスケだ。


「何が?」


「試合だよ!市民戦の1回戦の相手だよ!地区大会であたった北高のススム覚えてる?」


「あー覚えてる!あの試合あいつに30点取られたよなー。」


「あいつのチームらしいよ!たしか、チルなんとかってとこ」


「マジっ!強敵じゃん、早速練習しないとだな!」


「おう!ぜってー勝とうぜ!…ところで、今からノブんとこか?」


「あぁ。配達の前のちょっくら行ってくるさ」


「ちゃんとライラックの花持ってきたんだろうな?」


「つーか、なんでライラックなん?ノブ好きだったっけ?」


「おまえ花屋なのに何もしらねーんだな。そんなんじゃ花屋つげねーぞ」


受話器の向こうで大きなため息。大きなお世話だ


「あのな、友情と思い出だよ」


「何が?」


「花言葉だよ!ライラックの花言葉!」


「さぶっ!…おまえが花言葉?気持ち悪い!!ってノブにツッコまれるぞ!」


「…だよな!あいつのツッコミ厳しいからな。


…じゃ、また連絡するさー」


電話を切り助手席に携帯を放ると、助手席に置いてあった、こないだの飲み会の写真が目に入った


そこには、髭を蓄えたセンター、スーツの似合わないポイントガード、オシャレな髪型のシューター、と少しメタボ気味な俺が写っていた。


あの試合から、皆が離れ離れになってから5年経った


変わっていない奴なんて誰もいなかった


だけど、変わっていないものも確かにあった


俺達はまたバスケを始めた


あの頃の話は思い出話になってしまったけど


ノブの自慢のチームが負けたままで終る訳には行かないだろ?





おわり