レット症候群に関する書籍は多いとは言えないが、それでもいろいろ存在する。家族の立場として書かれた本はいくつかあり、支援機構さんや協会さんが紹介しているものが入手しやすく読みやすい良書と言えるだろう。売り上げがそれぞれの活動に資するということも好ましい。また、今年は研究班の集大成として「レット症候群診療ガイドブック」(大阪大学出版会)が刊行されたので、診断基準や諸症状、診療機関などの理解もしやすくなった。


 しかし、根本的な治療方法がない中、家族、介護者として患者に対して何ができるか、という観点にフォーカスしてまとめられた本は残念ながらわが国にないように思う。


 和書ではないけれど、強いて言えば、現在入手可能なものはこの一冊ではなかろうか。


RETT SYNDROME, Therapeutic Interventions


Meir Lotan, Joav Merrick編
Nova Science Publishers, Inc. 刊 2011


ISBN 978-1-61728-080-1 (Softcover), 978-1-61728-614-8 (Hardcover)


 原因遺伝子や発症機構等のサイエンティフィックな説明は極力排除し、治療的な介入方法について絞って記載がなされている。ソフトカバー版ならば5000円しないので、400頁を超える大部にしては極めてお買い得な一冊であると思う。