以前、発熱で延期になった長男の持病の再検査の日です。

 

親は何もしてあげることができません。

前日はただ神に祈り、あまり寝られず、ソワソワするものの検査のことを悟られないように病院に連れて行くのに必死です。

 

前回、発熱により検査が中止になったので朝から体調には一段と気を配り、早めに家を出て外食をしてから時間に余裕を持って向かいました。

とても暑く車内にいても強い日差しが避けられませんでしたが、早めに到着し涼むことでこもり熱も出すことなくその時を迎えました。

 

検査前まではニコニコしていた長男も、いざX線検査室(造影検査をする部屋)に入る時に私や夫、弟と離れて先生に手を引かれていくと、みるみる表情が強張り、扉が閉まったとたんに大泣きが始まりました。

 

泣き声はどんどん強くなり、「痛い」「怖い」「もう帰る」「ヤダ」「ママ〜」と恐怖に満ちた思いをしているのが手にとって分かります。

 

この検査は3度目です。

毎回地獄のように泣き叫び、初めのときは外で待っているのがあまりにもつらすぎてその場を離れて私も泣きました。

 

何が行われているのかは、主治医の先生に言葉では説明してもらってはいるものの、私にも細かくはイメージできかねます。

長男はまだ時間感覚もないですから、「いつ終わるのか」という恐怖にもさらされていることでしょう。

 

痛みを伴う検査であり、そのために医師や看護師が何人も動かないように押さえつけているようで、拷問のような検査です。

しかし、病状の予後を見るのにこの検査は絶対に避けられないようで、一度本当にどうにかならないか順天堂大学まで足を運んだこともあります。

 

しかし、予防内服か手術(全身麻酔)しか方法はなく、手術したとしてもこの検査を避けられないということで泣く泣くこの日を迎えたのです。

 

正直、年齢が浅いときは記憶にも残りにくいのでまだその場を耐えればよかったものの、今回は記憶も意識もはっきりしているので、トラウマにならないことを祈るばかりでした。

終わったあとのご褒美をと思い、夫に病院内のコンビニでアンパンマンチョコを買ってきてもらいました。

 

こんなチョコでその泣き顔を笑顔にできるなら、今日は何個でも食べていい。

そんな思いでした。

 

待つこと約30分、この世の終わりのように泣き続けた長男は、汗びっしょりで目を真っ赤にして戻ってきました。

 

私は思わず駆け寄り、長男の顔を見た瞬間抱きしめて一緒に泣いてしまいました。

 

「よく頑張ったね、つらかったね、偉いね」

 

涙が止まりませんでした。

もう、長男にこんな思いをさせたくない。

子どもの痛さは私の痛さ、私が痛みをすべて担ってあげたいと心から思いました。

 

検査の部屋を出て、少し廊下で落ち着こうと座ってお茶を飲んでいました。

検査結果を聞きに主治医の先生のもとに行かないといけないのですが足が進みません。

すると、先生がわざわざ廊下まで出てきてくださいました。

 

「治っていましたよ!」

 

その言葉を聞いた瞬間、私は泣き崩れてしまいました。

人目を気にせず、声をあげて泣いてしまいました。

嬉しくてです!

 

長男が生後3ヶ月の終わりかけ、39.3℃の熱を出しかかりつけ医に駆け込みその日に緊急入院、そこから2週間の地獄のような付き添い入院生活。

退院しても、毎日毎日欠かすことなく予防薬を飲ませ、3ヶ月に1回は受診。

薬を毎日飲むため、副作用が出ていないか採血をしたり腹部エコーをしたりもしました。

毎日何で薬を飲ませるか悩み、そのためにチョコやアイスを何個食べさせたか。

いくら薬を飲むとはいえ、こんなに甘いものを食べさせてよいのか。

薬を飲み忘れた日は再発しないか不安で仕方がなく、また入院になったらと発狂してしまったり。

どこかに泊まりに行くときも薬は絶対欠かさず、薬は夫も私も飲ませられるので、今日はあげたか毎日確認し合い、たまにもう訳わからなくなったり。

夫が変な時間に飲ませたときは私がすごい剣幕で怒ってしまったときもありました。

 

それでも約4年間、いくつもの苦悩を乗り越え、今回諸症状が見られなく完治したときには、もう薬を飲ませなくていいんだ、もう長男の身体に負担をかけなくていいんだという喜びが身体中を駆け巡りました!!

 

神様、ありがとうございます(泣)

 

この病気は1%の確率でなるもので、なぜうちの子が、とその運命を呪いました。

妊娠中の経過のせいでもなく遺伝性でもないので、何がいけなかったわけではありませんが、「健康に産んであげられなくてごめんね」と謝りました。

 

生後3ヶ月、初めての育児にも慣れない頃に起きたこの病気の発症は、私にはすごくつらくてたまらなかった経験ですが、たくさん学ばせてもらいました。

小児の病気はものすごい数あります。

これからも子どもたちに何か予期せぬことがあるかもしれません。

 

代わってあげたくても代われないものもたくさんあるでしょう。

 

子どもの痛みは私の痛み。

子どもの喜びは私の喜び。

 

子どもの痛みは心身ともにこれからも心が裂けるように感じることと思います。

 

それでも、私たち夫婦は子どもたちのためにできることをし、すべてを捧げて育てていくのだと、改めて決心しました。

 

この検査に関しては、育休関係なく仕事をしていたとしても夫には同伴をお願いしていたと思いますし、育休の話から逸れてしまいましたが、私たち夫婦にとってかなり思い入れのある話だったので書き残させていただきました。

この嬉しい結果には全力でハイタッチしました。