曇っていて、暑くはないけど湿度が高くジメジメしている。


毎年、この天候と季節独特の空気の匂いを感じると、水泳の授業を思い出す。


運動は決して得意ではないが、それなりにできていた。

ただ、水泳だけは本当に駄目で、水への恐怖感は然る事ながら、自分だけ泳げない羞恥心が何より大きかった。


大人になった今なら、泳げないことを恥ずかしいとは思わないし、機会があれば自分のペースで泳げるように練習もできる。


子供の頃は自分だけ泳げない理由もわからず、とにかく羞恥心が先行して、泳げるようになることよりも水泳の授業が早く終わることだけ祈っていた。


高校生になっても、自分だけビート板を使わされていることに対して平気な顔を繕ってはいたけど、内心はやっぱり嫌だった。


真夏は仕方ない。どう転んだって水泳の授業はあるのだから、覚悟を決めるだけ。


ただこの季節は、まだ気温や水温が低くて水泳が中止になることもあるし、雨が降る日も多い。


水泳の授業がある前日は雨を祈り、当日朝も雨を祈り、晴れていてもちょっと肌寒い気がしたらもしかしたら中止になるかも、なんてことをいつも考えていた。


だいたい、小学校、中学校で散々嫌な気持ちになっていたのに、どうして水泳の授業がある公立高校を望んだのか。


いや、その当時は水泳の授業がない高校があることなんて知らなかったかも知れない。


もしタイムマシンで当時に戻れたら言ってあげたい。


この高校に進学したら、また三年間水泳の授業に苦しむよ。でもちょっとモテるよ。


これじゃあ、意思は変わらないだろうなぁ。


水泳の無い男子校と水泳のある共学だったら共学行くよね。



まぁとにかく今日は、意地でも水泳の授業だけは欠席しなかった過去の自分を褒めてあげよう。