僕は誰かと焼肉を食べたくない。
既に焼かれている牛ならいい。
自分で焼かないといけないものでも、網がそれぞれ分かれているならいい。
網を共用しないといけないやつがとにかく嫌だ。
牛を焼くのは誰の役目なのか。
目下の役目?
デートなら男の役目?
僕は牛を焼きたくない。
僕が牛を焼くと、大抵文句が出る。
普段あまり文句を言わない人からでも文句が出る。
よくわからないけど、順序がどうだとか雑だとか、とにかく気に障るらしい。
割と真剣なトーンで怒られる。
だから僕は牛を焼いて欲しい。
僕は牛の部位の順番になどこだわりはない。
どうせ安い肉の焼き加減などどうでもいい。
多少焦げようがどうでもいい。
食べれればいい。
舌だって、タレに付けて食べてやる。
僕が牛を焼く時は、一応は気を遣っているつもり。
だけど、どうしても駄目らしい。
僕に悪気はないので、そんなにイライラしないで欲しい。
たまに率先して牛を焼いてくれる人がいる。
とても有難し。
そもそも牛の焼き方ってなんなの?
ルールでもあんの?
焼き方を指摘するっていうのは、自分の考え方を押し付けていることに他ならない。
僕の焼き方に文句を言う人たちのことを、僕はまとめて海原雄山と呼んでいる。
美食倶楽部にでも籠っておけばいいのに。