僕はゲームが好きだった。

 

今は悲しいことに、昔のように何時間もずっとゲームばかりできない。

 

それは時間がないだけが理由ではなくて、すぐに疲れるというか、最近のゲームに付いていけないのかも知れない。

 

 

これまでに一番プレイしたゲームは何かと言われたら、恐らく「ドラゴンクエストⅤ」か「ジーワンジョッキー4」のどちらかだと思う。

 

ジーワンジョッキーは比較的長くプレイできる類のゲームであることを考えると、「ドラゴンクエストⅤ」への心酔は半端ではなかった。

 

 

とにかく斬新で楽しくて、何回もプレイした。(でも、もしかするとクリアは一度もしていないかも知れない。)

 

「ドラゴンクエストⅤ」はモンスターを仲間にして戦うことができる。

 

できる、というか、クリアするには必要不可欠な要素で、冒険の途中で様々なモンスターを仲間にして、レベルを上げて、装備を整えていく。

 

仲間モンスターの力なしでは、普通はクリア不可能。

 

 

って、改めて説明するまでもないかも知れない。

 

国民的RPGの人気1、2を争うタイトルなのだから。

 

 

どのモンスターを仲間にして、優先的に使っていくかは自由なんだけど、序盤に誰もが仲間にして頼りにするモンスターがいる。

 

ピエールだ。

 

ピエールはスライムナイトの名前。

 

ピエールは万能型の能力を持っていて、回復魔法も使える。

 

特に序盤は回復はピエールに頼りっ切りになるし、攻撃力も攻撃魔法も主人公に勝るとも劣らない。

 

本当に頼りになる。

 

 

仲間モンスターもレベルが上がるに連れて能力は上がるのだけれど、実際、物語の序盤~中盤に仲間にしたモンスターを終盤まで使い続けることはできない。

 

どうしたって、物語中盤~終盤に仲間になるモンスターの方が強い。

 

どんなにレベルを上げていても、敵わないことが多い。

 

連れて歩ける仲間の数は決まっているので、長い道中連れ添って愛着があっても、新しいモンスターが仲間になった瞬間に戦力外通告を送ることになる。

 

お別れするわけではなくて、モンスターじいさんに面倒を見てもらうことになるんだけど、大体は二度と呼び戻すことはない。

 

 

とはいえ、例外もいる。

 

序盤に仲間になっても、レベルを上げておくと終盤でも十分戦えるモンスターもいる。

 

その代表格はピエールかも知れない。

 

コンスタントに能力が上がっていくので、終盤でも主人公よりやや弱い程度の力は発揮する。

 

でもやっぱり物足りなくなる。

 

能力が頭打ちというか、終盤で仲間になる強いモンスターに比べると、どうしても霞んでいく。

 

 

「ドラゴンクエストⅤ」でよく話題に上がるのは、ビアンカ・フローラ問題。

 

どちらと結婚するかを選ぶイベントがある。

 

僕は何度プレイしたって、どうしてもフローラを選べない。

 

セーブしていつでもやり直せるようにしたとしても、フローラを選べない。

 

フローラを選んだ時のビアンカの反応を見たくない。

 

本当に性格が出ていると自分でも思う。

 

 

ピエールは序盤からずっと一緒に第一線で戦ってきて、頼りにしてきた。

 

だから、強いモンスターが仲間になるからって、戦力外通告をすることなんてできない。

 

散々悩んだ挙句、他の強いモンスターを戦力外通告して、結局ラストダンジョンまでピエールは一緒。

 

僕にはピエールを見捨てることなんてできない。

 

 

だけど、人によってはいとも簡単にフローラを選ぶ。

 

ピエールをモンスターじいさんのところに送る。

 

両方とも合理的に考えると正しい選択だ。

 

たかがゲームの世界の話かも知れない。

 

だけど、それを難なくできる人は、現実社会においてもきっとシビアに合理的な判断を下しているのではないだろうか。

 

そして、今の自分にはそれが必要なのではないかと思う。

 

 

もっと合理的に。

 

それが仕事中だけでもいい。

 

自分を切り替えて、シビアに最適な判断を下したい。

 

 

だけどやっぱり、ビアンカを捨てることはできても、ピエールを見捨てるわけにはいかない。