美容室に行って髪を切ってもらった。
長さの確認をされた時に、前髪をもう少しだけ短くして欲しいと思った。
「前髪を気持ち短めにお願いします。」と伝えたら、美容師は笑顔で「わかりました。」と言って切ってくれた。
切ってもらいながら、僕は≪気持ち≫って何なの?って考えた。
≪気持ち≫だけ切るってことは、もしざっくりと切られたらもしかして脈アリなの?
ほんの少しだけしか切ってくれなかったら、そこに≪気持ち≫はないの?
いや、でも、それなら≪気持ち≫がない方が今はありがたい。
ちょっとセクハラ発言でもして、美容師の≪気持ち≫を抑えた方が良いのか?
くだらない。
調べると、副詞的に≪気持ち≫という言葉を用いた場合は、≪ほんの少し≫という意味になるらしい。
もちろん知ってはいたけど。
切り終わってワックスで髪型を整えて貰った。
最後に鏡を見せられて、美容師が笑顔で「スッキリしましたね。」と言ってくれた。
なんか、「今夜は月が綺麗ですね。」みたいに、客観的というか自然現象に対する傍観的な感想みたいな風に言うけど、(スッキリさせたのはあなたですけどね!)と心の中で思いながら少しニヤニヤしてしまったかも知れない。
捻くれすぎ問題は未だ健在で、自分こそ、自身に対して客観的で第三者的になる癖は直らない。
いつだって幽体離脱をした魂の立場で、またはディスプレイを通して映像を見ているような感覚で自分を捉える癖が直らない。
とにかく、真面目に話をしているように見えていても、大抵は別視点で物事を考えているので、放つ言葉は軽く、相手に響かない。
メリット、デメリットを考えるのはとても大切で、仮にその癖にデメリットが多過ぎるとしてもどうしようもない。
わざとやっているわけでも、やらないようにできるわけでもない。
これも自分なので、受け入れた上で、なるべくメリットを活かし、デメリットを補い、食べていくための武器に変えるしかないのだから。
僕はこういう感覚は誰しも持っていると思っているし、自分が少数派だとも思っていないのだけれど、あんまりそういうことを言うと怪訝な顔をされるか、冗談だと捉えられることが多いので言わない。
自分が感じたことを言うと、ネガティブ発言だと捉えられることもある。
僕はネガティブは悪いことだと思わないし、むしろ最高の防具であると考えている。
だけど、世の中には、ネガティブは悪であり、ポジティブシンキングこそ至高だと本気で信じている人たちもいる。
そういう人たちから見れば、僕は何かに付けて文句を言い、いつも悲観的で悪い方向にばかり考えているように見えるらしい。
ポジティブ、ネガティブは性質であって、そこに優劣など無い。
ただ、ポジティブな人間がネガティブシンキングをすることは難しいけれど、逆は意識すれば割と容易にできる。
そうすると、双方のいいとこ取りができる。
ポジティブ至高派の人たちは、裸の大将とかフーテンの寅とか好きそう。
正直、僕はあんまり好きじゃない。
いずれにせよ、ポジティブとネガティブは相容れないと思う。