今さらこんなことに気付くなんて。


僕はよく頭がおかしいと言われる。


昔は冗談だと思って受け流していたが、どうやら少なからずそういうところはあるらしい。


今もまだそれを受け入れてはいないが、他者からの評価は認めざるを得ない部分もある。



まぁ、頭がおかしいというのは辛辣なジョークだと捉え、実際のところは感性が一般からややずれているというところだと思う。


思い当たる節が無いことも無いが、僕はただ正直なだけだと思っている。


まぁ、今はそれはいい。



このインターネットが当たり前の社会において、少なからず僕は恩恵を受けているし、大いに毒されている。


レストランを選ぶのも、買い物をするのも、旅館を探すのも、何をするにも事前にレビューをチェックするのが当たり前になってしまった。


なるべく高評価なモノを選びたいと思うのは当然。


もちろん予算との兼ね合いはあるが、庶民ゆえ、コストパフォーマンスが最適なモノが好ましい。


だけれども、首を傾げることが多い。


事前のチェックではほぼ100パーセントの自信を持って選んだはずのソレが、いつも大体期待外れなのだ。


その理由を考えることもあった。


この世の中、品質は値段に比例する。


コストパフォーマンスだなんだと言っても、結局は過剰な期待をしているのだと。


理想が高いというか、他の人は十分に満足できるのに、僕はもっと高額を支払わないと手に入らないほどのモノでしか納得できないややこしい人間なのだと。


だからと言って、生活していく上で、可能だとしても高額な代金を無駄に支払うことはしない。


では、この世の中のすべてに不満を持っているのかと言えば、そういうわけでもない。


満足できることもなかなか多い。


ただ、それが必ずしも事前のリサーチ結果とは結び付かない。


誰かの紹介で訪れた飲食店にとても満足し、後からレビューを見てみると意外に評価が低かったりする。


つまり僕は、インターネットに毒され、何でもかんでもレビューを当てにし過ぎて、実際は損ばかりしているのではないか。


そんなことを思った。



というのも、昨夜眠れずに、つい電子書籍の漫画を買ってしまった。


最初に買ったのはレビューの評価も高かったのだけれど、もともとサンプルをブログでも読んでいたので、迷いはしなかった。


それは期待通り面白かった。


読み終えてもなお眠れなかったので、同じ作者の別の作品も買った。


その作品の評価はかなり低かった。


5段階評価で2.3ぐらいだったので、普段なら敬遠するレベルだ。


だけど、読んでみるとこれがなかなか面白い。


むしろ最初の作品よりも面白かった。


こんなこともあるのかと、興味から低評価のレビューをじっくりと読んでみた。


これに低評価を付ける人は、一体何が不満なのかと。



その作品は、作者の人生の一部を描いたものだったのだけど、その主人公(作者)はちょっとウザい。


ドロドロした黒い内面も描かれているし、自分勝手な部分も多々見受けられる。


その悪い部分に気付いて、変えて行こうって感じの物語。


僕はそういう、誰しもが持っているものがリアルに表現されていて面白いと思ったし、そのありきたりじゃない結末、要は明らかなハッピーエンドではない部分もリアリティがあって良いと思った。


だけれどレビューには、その主人公(作者)の人間性に嫌悪感を抱いていたり、綺麗ではない結末に腹立たしさを覚えて、低評価をしている人が目立った。


また、タイトルと中身が全然違う、という意見も目立った。


つまり、主人公は清らかで純粋であり、結末は納得の行くハッピーエンドでないといけなかったのだと思う。


きっとタイトルと表紙から、自分である程度のストーリーを構築し、それが悪い意味で裏切られたから低評価なのだ。


確かに、タイトルと表紙からしか判断できない状態で買ったのなら、そういうのも多少は理解はできる。


だけど、それで作者の人格を否定するようなことを書き込むのはまったく理解できない。


そういうので低評価になるのだから、やっぱりレビューなんてものを当てにするのは、電化製品みたいな心象に左右されないものだけにしておこうと思った。


ウェブサイトの仕様上、どうしてもレビューが目に入る場面が多いけど、事前に見るのもなるべく避けたい。


インターネットの買い物って便利過ぎて当たり前になったけど、無駄遣いが増えた気がする。


無駄遣いというのは、レビューを信じて買った面白くないモノたち。



ちなみにその作品の主人公よりも、低評価レビューの書き込みの方が余程毒々しく、人間の黒い部分が如実に表れていた。


人間の常識って、自分が思っている以上に個体差が大きいものなのかも知れない。