僕はよく夢を見る。
他の人がどれぐらい夢を見るのかはわからないけど、よく見るほうだと思う。
ストレスが溜まっている時だったり、疲れていたり体調があまりよくない時によく見る気がする。
夢を見る科学的な理由なんて僕には皆目わからないけれど、きっと脳が寝ていないからだと思う。
だけれど、不思議と夢を見た翌日は身体が軽かったりする。
これは、朝起きた時に、見ていた夢について分析を始めるから脳がすぐに活発になるのか、そもそも脳が休んでいないから朝からフル回転なのかのどちらかだと思う。
これは感覚的なものだけど、寝ている間に、今直面している問題に対する方法を引き出しの中から探している。
脳がそんな作業をしている気がする。
僕は割と唐突でスペクタクルな夢を見る。
とは言っても、リアルとそこまでかけ離れてはいない。
この物語を映画化すれば大ヒットするんじゃないかと思えるぐらいギミックやスリルに富んでいて、内心をえぐるものが多い。
こんな物語を想像できるのなら、自分の能力もまだまだポテンシャルがあるな、なんて考えたりする。
壮大さ故に、夢の中でこれが夢であることに気付くことも多い。
また、幽体離脱でもしているかのように、第三者的視点で傍観していることもある。
ただ、ここ2日間は脈絡のない短い物語だった。
一昨日見たのは、友人と車に乗っていたところ、車の周りを覗き込んでくる物体がいた。
その物体は人型ではあるけれど、全身真っ白で、女性的な表情だけはある。
いうならば、超リアルなオバケのQ太郎って感じ。
それがガラス越しに色んな表情を投げかけてくる。
恐ろしい表情だったり、おどけた表情だったり。
おどけた表情であっても、この世のものとは思えないそれは恐怖を誘うには十分だった。
友人は冷静に、「反応したらダメ。気が済むのを待つしかない。」と言った。
何もわからない僕は、ひたすらガラスの向こうから覗き込んで色んな表情を投げかけてくるその物体を眺めていた。
何となく、危害は加えられないような気がしていた。
昨日見たのは、見たことのある女性と、小学校の時の同級生(男)と、見知らぬ男女1名ずつの計6人でお酒を飲んでいた。
店を出て、かなり酔っていた見知らぬ男女は、二人で夜の街へと消えていった。
小学校の時の同級生(男)は、見たことのある女性を口説いていた。
僕には余裕があった。
それは、その女性と予め示し合わせがあったからだ。
いくら口説こうとも、この後は僕と過ごすことが決まっている。
なのに、その女性は同級生に誘われるがまま付いていってしまった。
一人部屋に戻った僕は、女性にLINEで連絡を取る。
一緒に過ごすはずだったのにどうして?
するとその女性はこう言った。
「そうなんだったら、その時に言ってくれたらよかったのに。」
それを聞いた僕は、あぁ、そうか、主張するタイミングを逃したら奪われることもあるのか、と妙に納得して目が覚めた。
朝起きて、しばらくその見たことがある女性が誰だったか考えていた。
すぐには思い出せなかったけど、ふと思いついた。
それは、高校の時の同級生った。
とても気さくな女の子で何度も話したことはあるが、一緒に遊んだ記憶はなかった。
クラスメイトの女の子からは嫌われていて、教師からも嫌われていた。
遅刻もするし、欠席も多い。
人を選ばずに、誰にでも同じように接するし、物事をはっきり言うところが避けられる要因だったのか。
好きとか嫌いとか、そういうのはなかった。
なんとか名字だけ思い出したけど、下の名前は思い出せない。
この子のことを思い出したのは、何年振りなのか。
少なくとも、ここ10年は考えたことすらなかったと思う。
自分の人生にとって、キーとなるような人ではなかったはずなのだ。
記憶の引き出しから出てきたその子を、脳は捨てずに保管することを選んだ。
その意味はわからない。
夢は深層心理と記憶とストレスが絡み合って紡がれるストーリーなんだと思う。
そして、時には自分の悩みや問題について合理的な導きを行うものなのかもしれない。
「そうなんだったら、その時に言ってくれたらよかったのに。」
今の自分にとって戒めるべき大事な事なのかも。