毎日通る道があるんだけど、

そこの路地にいつも猫が二匹いる。


トラキジ模様の、

多分、

野良猫。


同じぐらいの大きさなので、

親子じゃない、

多分、

兄弟?


ダメだと分かっていたけど、

猫に飢えてた僕は、

ある日、

コンビニでキャットフードを買って食べさせた。


それから一週間以上経った今日、

その猫達はいつもの路地にいた。


僕のことを覚えていたのか、

食べ物をあげる前は近寄ったら逃げていたのに、

今日は触っても逃げなかった。


というか、

近寄ってきた。


今日はキャットフード持ってない。


ゴメンね。


というか、

野良猫に食べ物与えたらダメなんだけどね。


ってそんなの誰が決めたんだ。




ちなみに、

僕が猫と戯れてる道の、

5メートル程後方、

ちょうど道路の真ん中では、

下半身を露出させたおっさんが倒れてた。


日常である。


通り行く人、

誰も気にしない。


路地の猫も気にしない。


そんなことを知らずに進入してくる最初の車は災難だろうなぁ。


こんな話をしたら、

普通声掛けない?」

病気で倒れてたらどうするの?」

救急車呼んであげなよ!」

とかいう人は絶対にいる。


言葉にしては何も言わなくても、

明らかに引く人が多い。



育った環境の差だ。


裸で倒れてるおっさんをいちいち介護してたら、

年間何度遅刻するだろう。


よくあることだ。


はっきり言うと、

下半身丸出しで倒れてるおっさんが、

そのまま野垂れ死のうと車に轢かれようとどうでもいい。


どうでもいいから、

何もしない。


どうでもよくなけりゃ、

助けてる。


道行く人が誰も無関心なのは、

みんな「分かってる」からだ。


決して、

見て見ぬ振りじゃない。


ひどいだの、

人道に背くだの言うなら、

この町に来て、

局部丸出しで倒れてるおっさんを介護してやればいい。


じゃあ、

誰もが素通りする理由がわかるはずだ。



裸のおっさんより、

猫の方がかわいいに決まってる。