[英雄]
比呂が本当にひかりが好きなことを知ってる。

勝負に負けた方が身を引くことになると思ってる。

比呂は三振を取りに来ると思った(勝負に勝ちに来ると思った)。
 →ひかりを奪いに来ると思った。
  →試合後の「あの瞬間、高速スライダーが頭をかすめた。」「比呂を疑った。」

試合後に気付いたのは、比呂がスライダーを投げれば(英雄が勝負に負ければ)、比呂は自分からひかりを奪うことになる(実際は、英雄がひかりから身を引くことになる)。比呂はそんなことをするはずがない。
 →なのに疑った。
  →自分の弱さ。

[野田]
英雄がスライダーを待つことを知ってた。

比呂がスライダーのサインを出した時、打たれるつもりだと思った。

明和一の監督と英雄が、野田の凄さについて語ってたのがその布石。
監督「あいつがいなかったら、どんなピッチャーになっていたのかな。国見は。」
英雄「今ここにはいなかったでしょうね。比呂も…おれも。」
 →凄いキャッチャーであり、比呂と英雄を一番理解している。
  →英雄がスライダーを待つことを見抜ける。

わざと明和一にヒットを打たせようとしたのは、ノーヒットノーラン状態になって、英雄の打席の時に変な邪念が入るのを阻止しようとした。

[比呂]
英雄に打たれるつもりだった。
 →二点差だからソロホームランでも試合は負けない。

二球目のホームランが風に流されてファールになった時に気付く。わざと負けることで無理やり自分を納得させようとしてることに。
 →ひかりのおばさんの言葉。

スライダーのサイン
 →英雄がスライダーを待つことは知ってた。この時点では、スライダーを投げるつもりだった?

ひかりが英雄に惚れたのは、そこでスライダーを待ってしまうような男だから。
 →試合中におじさんがひかりに対して言った、「ひかりちゃんは、橘英雄のどこにホレたんだい?」
 →それが「それだよ、英雄」のセリフに繋がる。

この時点で、比呂は自分が三振を奪ってもホームランを打たれても、ひかりが自分のものにならないことに気付く。

ストレートを投げて、英雄を三振に奪ることで、自分の気持ちにけりを付ける。同時に、ひかりも気付く。
 →三振を奪った後に、比呂とひかりが流した涙の意味。
 →試合後、英雄にひかりが言った言葉の意味。

比呂が打たれれば、ひかりはまた迷う。ひかりは、弱い比呂(英雄に負ける比呂)が好きだから。ずっと構ってきた比呂を構ってあげないといけないと思うから。それに気付いてるのは比呂だけだった。
 →野田が気付いてるかは微妙。

作品中、何度も出て来た、比呂とひかりの身長差の描写がポイント。

けりを付けるというのはそういう意味。三振に奪ることで、ひかりが本当に必要なのは、弱いのは、英雄だと言うことを証明する。
なのでストレートを投げる。
 →イニング前に比呂が野田に言った「あまりおれを信用するなよ。」

野田がそこまで理解した上でミットを動かさなかったのかは微妙。
その後の野田の言動を見ると、理解してた?


よって、比呂は最後に自分の意思でストレートを投げた。
スライダーが曲がらなかった訳ではない。
明和一の監督の「スライダー!?」は、ミスリードを誘うため?
新聞記事のスライダーの握りも。
新聞記事が最後の一球を投げた比呂の姿とは限らないし、そもそも握り自体、ストレートと言われればストレートにも見える。
 →でも多分、新聞記事に載ってる比呂の握りはスライダー。
新聞記事も監督のスライダー発言も、比呂がスライダーを投げようとした決定的な根拠にはならない。


これでOKな気もするけど、やっぱりスライダー投げたようにも思えるなぁ。
奥が深い。