幸いなことに、

これまで何人かの女性と交際をした。


色んな別れ方があったけど、

後悔はしていない。



男は名前を付けて保存、

女は上書き保存。


よく言うけれど、

それはまったくその通りだと思う。


良くも悪くも、

過去に固執し、

綺麗な思い出だけをキャプチャして保存する。


これまで付き合った女性の中で、

誰が一番だったか。


こんな発想、

上書き保存の女性には無いのだろうか。



初めて付き合った彼女。


初めてということは、

一番古い思い出になるわけで、

思い出なんて、

古くなればなる程美しくなる。


とてもいい子で、

それ以降に付き合った女性とは全く違う。


何より価値観が一致していたのが素晴らしかった。


その女性と出会うのがもう少し遅かったら、

なんて思うこともある。


そんな話をすると、

未練があるんだね、

って言われる。


僕は思う。


未練なんて無い。


後悔は無い。


だけど他人は、

未練があるという。


そうなのか?


そうだとすると、

未練って何?

ってなる。


未だに想い続けて、

チャンスさえあれば復縁したいと思う。


そういうのを未練って呼ぶんじゃないの?


未練なんて無い。


無いつもりなんだけど、

先日、

夢を見た。


その女性(Tさん)と、

その女性の女友達(Uさん)。


Uさんに言い寄られた僕は、

少しエッチなことをする。


その最中に、

僕は考える。


Uさんはかわいいし、

悪くない。


でも、

Tさんといる方が楽しいし、

性格は絶対にTさんの方がいい。


Tさんを離したくないから、

Uさんとこんなことをしてる場合じゃない。


外見でTさんとUさんを比べ、

Uさんの勝ち。


内面で比べ、

Tさんの勝ち。


外見と内面を天秤に掛け、

内面の勝ち。


よってTさんの勝ち。


夢の中の話だけど、

Uさんは目の前にいて、

Tさんは空想だった。



目が覚めた僕は思った。


こんな夢を見た話を誰かにしたら、

間違いなく未練があると思われるだろうと。


だけどそれでも僕は思う。


未練なんて無い。


まったく無い。


これから出会う、

最高の女性しか見てない。


なのに他人は未練があると言う。


どれだけ否定しても、

未練があると言う。


無いんだって!

本当に。


こんな夢を見てもね。



起きたてのぼんやりした意識の中で、

Tさんの悪い部分を思い出そうとした。


別れた切欠を思い出そうとした。


色々あったような気がするけど、

いまいち決定打に欠ける。


どうでもいいや。



男は名前を付けて保存。


保存してるので、

どうしても過去と比べる。


Tさんを超えたら、

間違いなく離したく無いと思うだろう。


Tさんを超えなかったら、

どうでもいいと思うかも知れない。


綺麗に色付いた思い出は、

とてもレベルが高い。



夢が悪い。


こんな夢を見たのが悪い。


女性は上書き保存。


Tさんは、

僕のことなど忘れてしまっているだろう。


何でこんな夢を見るのか。


未練があるからだ、

と言われれば、

反論できない。


だけどやっぱり、

未練など無い。


断じて無い。


だからもう、

他人にそんな話はしない。



コンピューターみたいに、

簡単にファイルを消せればいいのに。


くだらない思い出がいっぱいある。


忘れたいことがいっぱいある。


僕のHDは容量満タンだ。


もっといっぱい保存したいことがあるのに、

容量オーバーで泣く泣く保存せずに捨てるものもある。


容量が満タンなのを知ってるから、

ファイルを作ることすら止めてしまうこともある。



生きてきた道、

選んできた道が必ず正しいとは限らない。


あの時こうしていれば、

なんて、

数え切れない程考えた。


それでも、

パラレルな世界を覗くことなんてできないから、

これまでの自分、

これからの自分を信じるしか無い。


思い切りぶっ飛んだ未来を描けばいい。


過去は過去。


大切なのはもちろん限られた未来。


思い出に色付けするのは止めて、

未来予想図を完成させよう。



未練?


なんですか、

それ。



あー、

おなか空いた。