たくちゃんは相変わらず綺麗な顔立ちをしている。

楽天の岩隈をGacktっぽくした感じ。


車は黒のハイエース。

車のことはよく分からないけど、安くは無いよね?


ボーダー柄のポロシャツ。

スラッとした人が着るとよく似合う。


腕にはめられている時計は、僕の時計の5倍くらいは高そうだ。


車の内装も凝ってるし、僕の知らない洋楽が流れている。


財布もサングラスも有名なブランドもの。

決して安くは無いはずだ。


少なくとも、僕のように金銭的に堕ちたわけでは無いようだ。

まぁ、他のステータスがあれば、お金なんか無くても女の子は寄って来るものだ。



でも…んー…なんか変だ。



僕のマンションに向かって車を走らせ、僕がよく行く、深夜まで開いてる定食屋に入った。

軽い丼ものを頼んで、少し近況報告的なことをする。

たくちゃんは色んな仕事を転々として、今はIT関連の営業をしているという。

女の子にはだらしない感じだったけど、真っ当な人生を送っているようだ。

僕とは雲泥の差だ。


たくちゃんはセブンスターを吹かしている。

顔立ちがいいと、タバコを吸う姿すら画になる。


注文した丼が来た。

たくちゃんは男らしくがっつく。

こういうところも、女の子から好感を得られるんだろうなぁと思った。



だけど…やっぱりなんか変だ…。






茶番は止めよう。


車に乗り込んで、たくちゃんを見た時から気付いていた。


変なのだ。


不自然過ぎるのだ。



その帽子。



ポロシャツとも合ってないし、定食屋の中でも帽子被ってるなんて不自然過ぎる。



確定だ。



僕は海鮮マグロ丼を食べながら、どうすればその帽子を剥ぎ取れるかを考えていた。

さすがに隙を見てぶんどるってのはちょっとね…。



たくちゃんさぁ。

一体どれくらいキテるのさ?

もう誤魔化し切れないほどかい?w



この男ほどのスペックがあれば、多少薄い程度で、女の子が寄り付かなくなるとは思えない。


正直、ワクワクした。


最悪、無理やり剥ぎ取ることになっても致し方ない。

“それ”を見ずには帰れない。


しかしそれにしても、顔立ちやスタイルは昔のままなのに、明らかにオーラが無い。

華やかさが無くなったとでも言えばいいのか。

話をしていても、昔のように自信に満ち溢れた発言も無い。



無駄にテンションが高くて、人を小馬鹿にしたような物言い。

スーパーポジティブで、今を楽しむ事しか考えて無い。


なぁ、たくちゃん。

良くも悪くもそれがたくちゃんだろ?

あの頃の自信に満ち溢れた姿はどこに行ったのさ。



帽子の件は置いといたとしても、そんなオーラじゃ、女の子が寄ってくるわけがない。

正直、そう感じた。

まぁ、人の事は言えないけどね。



なぁ、たくちゃん。

思いっ切り笑ってやるからさ、早くその帽子を取れよ。

他の客が振り向くくらい笑ってやるよ。

引くよりは笑われる方がいいよね?

思いっ切り笑うよ。

そして、ようこそだよ。

Welcome to the Negative World!!

(・∀・)ニヤニヤ