発達のアンバランスがあるお子さんへの対応について

基本的な考え方:お子さんの特性に合わせて対応する

(ありきたりですが、一番大切なことです)

判断に迷うときは、お子さんを知る専門家(担任の先生など)に相談しましょう。

 

   コロナのこと、なぜ自粛するのかを説明する。

〇なんで?どうして?にできるだけ答える⇒子ども目線での納得してもらう

〇具体的な対処方法を説明する⇒大変!という不安だけにしない。対処すれば大丈夫を教える

 

方法:視覚情報で伝える、モデルを見せる、一緒にやってみる。

 例:視覚情報で伝える

・テレビやYouTubeなどの動画を用いる。

・印刷したものに書き込みながら説明する

・お母さまがお子さんに分かりやすいように説明の絵や図をかく

 

例:モデルを見せる、一緒にやってみる

手洗いうがいは実際にやってみましょう。

ハッピーバースデーの歌×2回=30秒というのがありますが、混乱することもあります。

「だれも誕生日じゃないのに歌うのは何で?」となることもあります。

30秒数える方がいいかもしれない。

逆に30から数を減らし、0になったら終わりの方がいいかもしれない。

30からだと難しいので、「10、9、8、・・」を3回の方がいいのかもしれない。

⇒つまり、お子さんの特性に合わせるということです。

 

 【発達障害や知的障害のお子さんによく見られる困難さ】

 ◯変化への不安

普段の生活においても時間割や予定の変更、 手順の変化などでも不安になります。

今の生活の変化を考えると、お子さんの目線ではとんでもない状態です。

「みんな同じだから」と言ってもお子さんの不安は減りません。。

そもそも変化が苦手なのに、すべてが変わってしまって、高いストレスと不安を抱えていることを

わかってあげる人の存在が必要です。

⇒理解しているよということを伝えてあげることが大切です。

 

 変化してしまったこと、変化せざるを得なかったことは戻せません。

ならば、変化しなくて済むことは変えないことです。

 例:学校には行かないけど起きる時間は変えない

家庭学習の場所や時間を変えない

寝る時間を変えない

⇒生活リズムを維持することにもつながります。

 

◯見通しへの不安

「いつから学校が始まるの?いつコロナが終わるの?」見通しが立たないことへの不安です。

今、わかっていることを具体的に説明しましょう。

コロナが終わることはどういう状態か、それはどうやって決まるのかなど、

お子さんの年齢や特性に応じて、できるだけの見通しを説明します。

できるだけ早く伝えた方がいい場合と、変更は直前に伝えた方がいい場合とあります。

この対応はお子さんの特性が大きく影響を与えますので、慎重に行ってください。

 

*「いい子にしていたらコロナが終わるよ」などはよい表現ではありません。

 

◯行動が制限されることへのストレス

じっとしていられない、体を動かしたいのにできないことへのストレスです。

部屋の中では走ったりボールを投げたりできません。

時間帯や場所を配慮しつつ、体を動かせるように工夫しましょう。

散歩やウォーキングをしたあとの方が学習に集中できることもあります。

いきなり座らせようとするとストレスになることもあります。

運動をしてから学習に促す方がいいこともあります。

じっと座って取り組む時間は、個別に異なります。

ストレスが増えている今はいつもより短くなっている可能性も高いので

細切れで行う、動きながらやる、座位が乱れても注意しないなど配慮が必要です。

 

◯何かやることがないと落ち着かない

暇をつぶせないお子さんも多いです。

学習は嫌だけど、することがないとお母さんやきょうだいにちょっかいを出して、ケンカになるなんてことも。

一人で遊べるもの、集中できるものを考えてあげましょう。

新しいことが苦手なお子さんも多く、言葉での提案だけでは行動できないお子さんもいます。

先にお母さまがやって見せることも必要かもしれません。

することがないから寝る→昼夜逆転になることもあります。

お菓子作りや菜園、工作、お子さんの興味に寄り添いながら発想を飛ばしてみましょう。

 

◯こだわりが強くなる

ストレスと不安からこだわりが強くなることがあります。

叱責は行動を強化してしまいますので、やめましょう。

こだわりが始まってしまったら、いつも通りの対応をして見守りましょう。

自傷他害でなければ、そっとしておいてもいいでしょう。これは内容と特性により異なります。

他の方法でのストレス発散を考えましょう。

「適応的なストレス発散を考えて試す」を繰り返します。

結果的に、ストレス発散のバリエーションが増えるのであれば、とても良いことです。

 

〇感覚過敏

家族が自粛で家にいることになります。

過敏なお子さんにとっては、色々な音が聞こえたり、人の動きが視覚的に気になったりで落ち着かないこともあります。

一人で落ち着ける場所があると、避難することができます。

きょうだいもいつも一緒だとイライラしていくることもあります。

テント、段ボール、押し入れ、二段ベッドなど、物理的な区切りを付けましょう。

お部屋の構造によって、簡単にはできませんが、個人が確保できる空間、場所を検討してください。

 

◯元々苦手なこと、弱いところに歪みが出やすくなる。

私はWISCの説明をするときに家の4本の柱を例に説明をしています。

発達のアンバランスがあるお子さんは柱の高さが違うために家の中に雨や風が入りやすくなります。

それが学校等での不適応状態と言えます。

今は、嵐が来ている状態です。ストレスや不安などの負荷がかかると、弱いところに歪みが生じます。

お子さんの特性に合わせて、環境調整をしましょう。

お子さんに努力や変容を求めるのは厳しいですが、すべてを保護者が担うこともにも限界があります。

保護者さま自身がリフレッシュし、お子さんへの対応を楽しめるような余裕が持てるといいと思います。

(保護者さまたちもそれはわかっていますよね・・・さらに意識して、ご自分をほめてくださいね)

 

◯ゲームへの依存度が高まる

時間を区切る、やることをやってから許可する、ポイント制にするなど、

無理のないルールをあらかじめ設けます。お子さんと話し合いをしましょう。

大人目線で一方的に決めるのは逆効果です。ルールの変更も話し合いましょう。

きょうだいけんかをしたからゲームなし!など突然のルールの追加、変更は良くありません。

他の遊びや体験できることを考えましょう。

ゲームも家族でやるなど家族のコミュニケーションとして活用するという視点も大切です。

お子さんからゲームを教わるなど、いつもと違う親子の関わりを持つきっかけになります。

 

◯意外と快適生活

外出が苦手で、おうち大好きっ子には、今はパラダイスというお話もよく聞かれます。

このタイプのお子さんは、再開後・・・に反応が出てくることが予想されます。

保護者さまは、今は充電期間と捉えて、先のことは考え過ぎないことです。

再開の具体的な日にちが決まったところで逆算し、慣らしをしましょう。

 

 

お子さまに合わせた対応を導き出すには、手間も時間もかかります。

保護者さまだけでは煮詰まることもあります。

専門家への相談が外からの風になることもあります。

保護者さまだけで抱え込まないでください。