お立ち寄りいただき、
ありがとうございます。
プレイセラピーと療育の違いについて
お話したいと思います
【プレイセラピーとは】
プレイセラピーとは、遊戯療法とも言われます。
私は日本遊戯療法学会に所属しています。
遊びを通して行う心理療法(カウンセリング)の1つです。
子どもは、言葉を十分に使いこなし、
自分の気持ちや自分の有り様について
言葉で表現することが難しいです。
大人だから、言葉を使いこなせているわけではないのですが、子どもは語彙も表現力も少ないと言えます。
子どもにとって、遊びは言語であり、世界であり、表現手段でもあります。
自由で安全で限られた空間のなかで、
安定した相手(セラピスト)との遊びを通して、
子どもは自分を表現します。
表現することで、自分を理解し、受け入れます。
また、表現されたものをセラピストが受けとることで、癒されたり、さらに自己理解が深まったりします。
子どもが発信する世界で、セラピストとお子さんが関わることで、お子さんの成長や変容をめざします。
しかし、プレイセラピーは、変化に時間がかかったり、ただの遊びに見えてしまったりしがちです。
必要に応じて、プレイセラピーでの変化やご家庭の様子を保護者さまと共有することも大切なことです。
【療育とは】
見る、聞く、話す、書く、運動など、お子さんの特性に合わせて、苦手なことはスモールステップで取り組み、成功を積み重ねていきます。
そのなかで自信をつけたり、できることを増やしたりします。
難易度を上げたり下げたりするだけでなく、
教材の工夫、環境調整などを行い、取り組みやすくすることも支援方法の1つです。
ちょっと頑張ればできそう、くらいの見通しが立つプログラムを設定できるかが、腕の見せ所!
それがとてもとても難しいのです。
お子さんがお疲れモードのこともあります。
機転を利かせて課題設定を変えることも必要です。
知的にゆっくりなお子さんは療育を軸に、支援を組んで行くことが多いです。
療育は、大人側が設定したものに、お子さんがどう反応していくか、大人発信の支援です。
(かなりざっくりな言い方です)
しかし、
プレイセラピーも療育も目指す最終到達点は、同じだと思います。
その子らしく、
社会で生きていけること
プロセスは違えど、最終的な願いは同じだと思います。
ただ、私はプレイセラピーが基本、基盤と考えています。
私の経験上、療育的に指示されたことに答えられても、自分から発信したり、自分を活かしたりすることが苦手なお子さんが多いように思います。
頭ではわかっていて、療育ではできるけど、学校や外では出来ないので、困っています。
というご相談をお受けすることが結構あります。
そういうときに、思います。
プレイセラピーが基本、基盤なんだと。
人と遊びたい、
人と関わりたい、
人とコミュニケーションとりたいという気持ちが土台になるのだと思います。
療育は目的、目標が分かりやすいですし、
変化を評価しやすいと言えます。
目的や目標が、
ほかの子と同じように、に
傾きすぎたときに、無理が生じることがあります。
これは、ある意味保護者さまの純粋な思いと言えるかもしれません。
その背景には、
もっと、もっと、複雑な保護者さまのお気持ちがあると、私は思います。、
単なる希望や願いだけではないと思ます。
ゴムを引っ張るように、伸ばして伸ばして、ゴムが切れてしまったお子さんもたくさん知っています。
弱い(苦手な)ところを伸ばすことも必要ですが、
強い(得意な)ところで、弱い(苦手な)ところを補うという考え方やスキルも必要です。
いろえんぴつのプログラムでは、
苦手なことも盛り込みますが、
得意なことや好きなこともやります。
好きなことのなかから、どれにする?
なんてこともやります。
意外と、選べない子がいます。
「これは嫌だ」が言えても、「これがいい」が難しい子もいます。
<自由にどうぞ>が出来ない子がいます。
その子に今、必要なこと、
その子に将来、必要なことのバランスです。
「療育ではできるのに、、、」とお困りの保護者さまと、思いきって、支援を組み直したこともあります。
プレイセラピーから療育に切り替えるとか、
療育からプレイセラピーに移行するという、明確なラインはありません。
プレイセラピーのなかで、教育的にサポートすることはあります。
また、言語でのやりとりがだんだんできるようになってくると、カウンセリングに近い形になってくることもあります。
例えば、小三の子のプレイセラピーが、年齢とともに変わり、中学生になると、話すことが中心になることがあります。
療育でも、始めは先生が提示した課題をやっていても、年齢とともにこういうことをやりたいとお子さんから発信してきたり、一緒に計画を立てたりすることもあります。
プレイセラピーと療育をきっちりと分ける考え方もあります。
私はお子さんに合わせてという視点では、お子さまの状態、年齢とともに支援の方向性を変えたりする幅やバリエーションが必要だと考えています。
これをナンセンス、理論的でないとご意見もあるかなと思いますが、
15年以上、お子さんや保護者さまと関わるなかでの、ソラ流の1つの答えです。
そして、
お子さんへの支援も大切ですが、
保護者さまの不安や心配に寄り添うこと、お子さんを理解すること、具体案や見通しを考えること、見直しのポイントを明確にすることが大切だと考えています。