大学病院の専門医は忙しい。
とにかく忙しい。
だから主治医が巡廻に来てくれるチャンスを逃してはならない。
純ちゃんは常に先生の勤務スケジュールを把握し、診に来てくれそうな頃を見計らって、
病室にいるようにしている。
先生が来てくれたときに落ち着いて話ができるように、いすの上には荷物を置かない、
など細心の注意も怠らない。
患者だからと甘えるのではなく、医師との関係を良好に保つ努力も必要。
誰に教わったでもなく、こういうことが彼女には身についている。

この日、先生と面談ができたとメールがきた。


『CT結果が若干の増悪だったため、第5クールまでは中3週間に決まりました。
その後は第6クールに進むか、新薬に入るかは第5クールの様子次第。
新薬「ザーコリ」はファイザーから6月発売予定。1日2錠(1錠¥11,692)を連日経口。
日本人治験数 15人。1年生存率70%。2年生存率55%。

今日、初めて病院で泣いちゃった。そしたら看護師さんもポロポロ泣いてくれた。
ありがたいです。』


わたしが落ち込んでも仕方ないけど、やっぱり何もできない自分が悔しくなる。
2012年6月12日、純ちゃんは第5クールを開始した。