わたしは白龍である。
太古の昔から、この地におり、ずっと国をみまもってきた。
大地のエネルギーに満ちたこの国は、たびたび火山や地震の被害も受けてはきたが
人々はそれに屈することなく、自然を敬って生きてきたのであった。
わたしはそんな人々がとても愛おしい。
わたしは自分の祖先がどこからきたのか、知らない。
あるものは宇宙から来たと言い
またあるものはこの大地のエネルギーによって生み出されたと言う。
わたしは天とも大地とも深くつながっており
そしてその間に生きる人間や植物や動物たちなどの
さまざまな生き物たちをしっかりと守るという役割がある。
朝に私が息を吐けば
それは一日の始まりの合図となる爽やかな風となって山野を駆け巡り
夕に私が息を引くと
人間たちは体と精神の緊張が解け安心してすうっと眠りに入ってゆく
わたしは今この国を少々の憂と多大な希望で見つめている。
天の恵みを受けて大地を育んできたこの国で
大地は与えられた生命を最大限に生かし数限りない生命を自ら育んできた。
母なる大地は地球上に生まれたすべての命を包み込んできた。
それら多様な命は母なる大地に抱かれながら
そのだれもが自らの道を切り開くべくやってきた。
あるものは自らの魂を信じその声に従い
あるものは目には見えない魂に頼らず周りに従ってやってきた。
どちらのものもわたしには愛おしくてたまらない。
そして破壊と創造が繰り返されてきた。
この国が一体これからどうなってゆくのか。
それはお前たちがどうやってゆきたいのかと言うことに尽きる。
わたしは最後の最後までお前たちを見守ってゆく。
地球という母なる存在がお前たちを決して見放すことのないように
わたしも決してお前たちを見放しなどしない。
お前たちが自らの心の声に耳を澄ませ
本気でこの世において自らの花を咲かせたいと思うのであれば
疑う必要などはない。
私はいつもお前たちのそばにいてお前たちの幸福を心から願っている
母なる大地と共に。