
今日は初の新書、磯田道史著『武士の家計簿』。
副題の「加賀藩御算用者」の幕末維新にある様に、加賀藩の会計担当をしていた猪山家の家計簿を基に書かれたのが本書です。
武士の家計簿が見つかるのは珍しいらしく、冒頭で著者もそのことをやや興奮気味に書かれています。
確かに、江戸時代の武士がどういった日常生活を送っていたのか、という疑問は時代劇を観ても、日本史の勉強をしても、解決することはありませんでした。
武士は食はねど高楊枝、武士の商法など武士とお金にまつわる言葉は数あれど、実情を知っているとは言いにくかった。
この猪山家、仕事が会計担当なだけに詳細な家計簿をつけており、その家計簿が37年間分ほぼ完璧な状態で残っていたのです。
更には、家族同士の書簡も多数残っており、数字からでは読み取れない家族の事情にも思いを致すことができます。
本書では幕末から明治、大正を生き抜いた猪山家の三代に注目して、武士の家がその激動の時代を過ごしていたのかをメインテーマとしています。
これって、現代の我々に大きな示唆を与えていると思いませんか?
激動の時代といえば現代も経済的に言えば、そうですし…
これまでと同じ生活、意識ではやっていけなくなるのではないかという不安も同じく持っているでしょう?
単に、好奇心を満足させるためのものだけではない、この本の価値がそこにあると思うのです。
家計簿、御算用者、幕末維新と並ぶとなんだか難しいような、専門書のような感じを受けますが、内容は実際の数字を現在の感覚に直してくれていたりと、とても分かりやすく馴染みやすいものになっています。
本当に、人の家の家計を丸ごと解析しちゃってます。
まさか猪山家の人達も、百数十年後に自分の家計簿が本になってるなんて思いもよらなかったでしょう。
歴史好きにもお薦めですし、自己啓発本にもなり得ます。
新書ですので、気軽に読めるのも嬉しい。
実はこの本、今冬に堺雅人さん主演で映画化されます。(あのジェネラル・ルージュの方ですね)
この本を映画化するなんて…
ある意味冒険です。
かなり楽しみにしている今日この頃。
『武士の家計簿』



武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)/磯田 道史

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