台風が近づいて梅雨空の続く合間、奇跡的に雨の上がった一日京都嵯峨野を訪れました。
渡月橋は人影も少なく
渡月橋のかかる大堰川は水量が多く、遊覧船やボートは休止していました。
渡月橋から亀山公園を越え竹林の道に入りました。
いつもは観光客で混雑するこの道も人が少なく、ゆっくり写真を撮りながら歩くことが出来ました。
そこから10分程で常寂光寺に着きます。
秋には大勢の観光客が訪れるこの寺も、この時期は静かな佇まいです。
秋の紅葉も美しいですが、青紅葉の季節がこのお寺は一番美しいと思います。
(常寂光寺山門)
(常寂光寺仁王門と青紅葉)
(常寂光寺本堂への石段 青紅葉のトンネル)
(常寂光寺本堂にかかる青紅葉)
(常寂光寺多宝塔)
(常寂光寺からの京都市街 遠くに比叡山が見える)
雨上がりの青紅葉が美しく、枝の先には赤い花が咲いていました。
これが竹とんぼのように風に吹かれて舞う様子は、この季節ならではの美しさです。
(紅葉の赤い花)
境内には新古今和歌集や小倉百人一首の選者として名高い歌人、藤原定家の山荘があったようです。
常寂光寺を出て、平家物語で有名な祇王、祇女、刀自の母子が眠る祇王寺を過ぎると、伝統的な家屋が立ち並ぶ嵯峨鳥居本(さがとりいもと)に入ります。
(鳥居本の伝統的街並み)
(鳥居本 愛宕神社一の鳥居)
(一の鳥居にある鮎茶屋 平野屋)
一の鳥居の畔には江戸時代から400年続く鮎茶屋 平野屋がある。
春は山菜、夏は鮎、秋にはきのこ、冬は牡丹鍋と季節ごとの料理を提供してくれます。
鳥居本を過ぎ5分程で愛宕念仏寺(おたぎねんぶつじ)に到着します。
愛宕山の麓にあるから「あたご」と呼ぶのかと思ったら、「おたぎ」と呼びます。
どうしておたぎと呼ばれるのかは、このお寺の変遷と関わっているようですが、それはまた今度書きましょう。
(愛宕念仏寺山門)
ご本尊は鎌倉期のもので、その眼差しが左右対称ではなく、厳しさと優しさという仏の慈悲の二面性を、顔の左右に分けて表現されており「慈面悲面の千手観音」と称されています。
(愛宕念仏寺本堂)
(愛宕念仏寺地蔵堂)
山腹の傾斜地に建てられた境内には、千二百躰の石の羅漢(お釈迦さまのお弟子たち)像が並んでいます。
これは、参拝者が自らの手で彫られたもので、その一つ一つは色々な表情をしています。
(愛宕念仏寺 羅漢石像)
日本人の訪れは少なく、この日も私たち以外は外国から来られた人たちでした。
青紅葉の中、苔に覆われた幾多の羅漢像には心が癒されます。
鳥居本からの帰り道、同行の一人が道端に咲いている紫の花を指して、「この花なにか知ってる?」と意味ありげに聞いて来ました。
綺麗な花だけど何だろう? 知らないなあ、
と考えていると、横を「しらん!」と大きな声で叫んで、菅笠を被った男の人が笑顔で通り過ぎていきました。
突然のことで、あっけに取られていると、正解だったようです。
その花は「紫蘭」でした。
(紫蘭)
大阪(関西?)で子供たちに流行っている言葉遊びのようです。
「知ってる?」
「知らん!」
最後まで癒されの一日でした。