わたしが身体中の器具を外してもらっている間、夫は朝からバタバタと動き回ってた。
 
 
まずは病院でもらった死産届を役場に出すという任務。
 
 
土曜だったが、婚姻届、死産届等の受付はしてくれるのだ。
 
 
昨日の時点でわたしが火葬場に問い合わせ、日曜日の午後に火葬する予約を取り付けていた。
 
 
これをしておかないと死産届と引き換えに貰える埋葬(火葬)許可証がおりない。


私たちの本籍や、死産した赤ちゃんの氏名、住所も必要になる。
 
 
赤ちゃんの名前は『玲斗』と名付けていた。
 
 
住所も私たちと同じでよかった。
 
 
一瞬だけど、あ、家族だ、とその時感じる事が出来て嬉しかった。
 
 
夫は朝から死産届を提出しに役場にいった。


途中印鑑忘れたー!とLINEが来ていたから多分何度か役場チャレンジしたんだろう。
 
 
難しくて面倒な事が苦手な夫だが、ここ1週間、伝えたら早急かつ確実にこなしてくれる、頼もしい。
 
 
火葬許可がおりたようで、夫の次の任務、棺探しが課せられた。
 

病院にも棺はあったが、玲斗には小さすぎ、長い足をかなり曲げなくてはいけなかった。


悩みに悩んだすえ、夫にホームセンターで棺を、最悪段ボールの購入をお願いした。


玲斗がゆったりと眠っていられるサイズにしたかった。
 
 
そして、寂しくないように棺を可愛く飾り付けて、おもちゃや用意してたおくるみ等も一緒にいれたかったので、それらの準備、購入もお願いした。


お昼前に夫が到着し、部屋にきた。
 

この頃には夫はわたしの部屋にいるのが当たり前になっていて、コロナで毎回体温等ははかるが、出入りは自由になった。


ベッドの上にドサッと置かれたもの、それは、ペット用の棺だった。
 
 
取り敢えず開けて組み立ててみたら、お顔も観音扉で見えるタイプで、かなり丈夫な段ボール製、色も白で可愛くカッティングしてあった。
 
 
サイズも全く問題ないはず、よかった。


2人で部屋でお昼を食べたあと、ナースコールを押して、棺のサイズ確認と、今日も玲斗に会いたいと伝えて連れて来てもらった。

 
入ってくるや看護師さんが一言、


赤ちゃんむくみが取れてさらに可愛くなってますよー。
 
 
とりあえずカメラを手に持ち我が子を覗き込んでみる。
 
 
昨日と全然違う表情になってた。


むくみが取れて顔もひと回り小さくなって、低いなと思ってた鼻も、鼻筋が通った夫似になってた。
 
 
夫も身を乗り出してiPadでも写真を撮り始めた。
 
 
買ってきたぬいぐるみを横に並べて撮ったら、ほんとにただ眠っているだけのようにしか見えなかった。
 

棺に気がついた看護師さんは、よかったー!可愛いし大きさもいいですね!
 
 
と、笑顔で言ってくれた。


金曜日に会えた我が子と日曜日にはお別れしなければいけない、こんな可愛いのに。
 
 
昨日はわたしすっぴん寝起き状態だったけど、一緒に写真取れてよかった。


最初で最後の3人の家族写真になってしまったけどしっかり撮っておいてよかった。


あとは雲の上でも寂しくならないように、寒くないように、いろんなもの一緒に入れるからね!
 
 
そして看護師さんに聞いた。


明日の納棺は12時くらいで大丈夫ですか?


はい、私たちも一緒にお手伝いしますから、だいたい30分程度で終わります。


分かりました、ありがとうございます。


そして看護師さんには玲斗を連れて行って貰い、わたしと夫は残された時間で棺の飾り付けに取り掛かった。