姑~3 | 竹輪屋忘備録

「キャャアーーーーーー!!!!」

 

 

姑が息を吹き返したか

警官が姑を階下へ移動させるのに蹴落としたか

 

重苦しい空気を割る落下音に驚いて悲鳴をあげた私に向かって刑事は表情を変えずに言う。

 

 

 「警官が階段から落ちた音です」

 

 

  「え?」

 

 

 「警官が階段を踏み外して落ちた」と主人が繰り返す。

 

 

 この人達は平然として、見てもいないのになぜ警官が落ちたとわかる。そして、高いところから落ちた警官は大丈夫だろうか。

 

財布と通帳、保険証券を見つけた義弟夫婦がやってきて中身を確認したが大金が引き出された様子はなかった。

 

 

 「事件性はなさそうですが聴取の内容を精査するのと、ご遺体を署に移送して検視します。」

 「遺体をどうやって運ぶんですか?」

 「移送車両が来ますので、それに乗ってもらいます。」

 「付き添い人はいりますか?」

 「いりません。こちらの紙にこれからの流れが載ってます。」

 

 刑事はA4サイズの紙を出して読むよう促した。

両面コピーされた紙の表面には遺体発見から葬儀までの流れが図式で、裏面には聴取と検視の必要性の説明文が書いてあった。