京都の地下鉄の駅で、私は地図を片手に立っていた。
碁盤の目のような街は、しかし、地上にあがると迷子になるものだ 。T字路や斜めの道は、これで案外道しるべになるものだと、こんな時に気付く。ホームの隅の周辺地図と見比べ、方向を確かめた。
すると、50代半ばくらいの礼服を着た男性がやって来た 。同じように地図を見ながらブツブツしゃべっている。そして、そのブツブツはだんだん大きくなり、明らかに私に問いかける口調となった 。
「あのな、○○通り××町下る二…って書いてあんねん。これ、どこや思う?」
「…たぶん……ここだと思いますけど」
右手で地図を指さしたとたん、男は早口でまくし立てた。
「ちゃうで!ちゃうで! それちゃう! わしはな、こっちや思うねん 。きっとそや!!」
そして、男は私を残してそそくさと雑踏に消えた。
碁盤の目のような街は、しかし、地上にあがると迷子になるものだ 。T字路や斜めの道は、これで案外道しるべになるものだと、こんな時に気付く。ホームの隅の周辺地図と見比べ、方向を確かめた。
すると、50代半ばくらいの礼服を着た男性がやって来た 。同じように地図を見ながらブツブツしゃべっている。そして、そのブツブツはだんだん大きくなり、明らかに私に問いかける口調となった 。
「あのな、○○通り××町下る二…って書いてあんねん。これ、どこや思う?」
「…たぶん……ここだと思いますけど」
右手で地図を指さしたとたん、男は早口でまくし立てた。
「ちゃうで!ちゃうで! それちゃう! わしはな、こっちや思うねん 。きっとそや!!」
そして、男は私を残してそそくさと雑踏に消えた。
ー たいそうな自信をお持ちでした ー