旅立ちを見送るように
五分咲の桜が揺れる
早朝の駅


我が肩に
もたれて眠る娘(こ)の重さ
大きくなったと実感しながら


だんだんと 雲厚くなる山陰の
彼方の空を ただ眺めつつ


桜途切れ
季節は戻り
梅の香と 目前に立つ真白き大山


巣立つ日は
残る時間を惜しむ間なく
作業に追われ 抱きしめもせず


最終の やくもの車窓は闇ばかり
18年の日々蘇る


親子三人 眺めた景色も
帰路二人
特に語らず寄り添う車中


帰宅して 一夜明ければ
日常に
茶碗がひとつ足りない寂しさ