春の5Kという話題を耳にされたことがありますか?
春は乾燥、花粉、強風、寒暖差、黄砂に注意が必要と言われています。
それらは皮膚の病気との関連があります。
乾燥については秋から始まり、冬、強風を生じる春まで続きます。寒くなり暖房器具を使うことで乾燥がより悪化し湿疹が生じると、皮脂欠乏性湿疹という状態になります。皮膚がかゆいとのことで受診される患者さんの中に、電気毛布を一晩中つけている方が大勢います。電気毛布は皮膚だけではなく体内も乾燥させるため、起床時にのどの渇きを感じる事もあります。電気毛布は寝る前に入れておいて、就寝時には切るようにしてみてください。こたつの長時間使用も同様に避けてください。暖かな化繊の下着も乾燥を生じます。毛糸も刺激となりかゆくなります。下着は必ず綿のものにしましょう。寒い時は温まろうとして長湯をしてしまいがちですが、熱いお湯は皮脂を取り去り、温まることでかゆみが増しますので、湯船につかるのは短時間にしてください。そして朝夕に保湿クリームを塗っておくことで皮膚を良い状態に保てます。湿疹ができている場合はステロイド軟膏も併用します。手間ではありますが、気を付けていただくことで皮膚の乾燥、かゆみは格段に解消されます。
暖房器具の使用について、もう一つ注意していただきたい点があります。ストーブ、ヒーター、こたつ、カイロなどを近接して長時間使用していると、皮膚に茶色の網目状の変色や水ぶくれを生じてくる事があります。温熱性紅斑(火だこ)というものです。皮膚があぶられた為に発症します。やはり長野県では多く見られます。暖房器具を近接して使用しないことが大切です。部屋全体を温め、ひざ掛けなども併用し温まりましょう。
花粉症では、くしゃみ鼻水、目のかゆみなどの症状と共に、顔面全体や首のかゆみを伴うことが多くあります。屋外では皮膚にも多数の花粉が付着します。そのままにしておくとアレルギー反応でかゆくなるため、帰宅後は直ぐに洗顔やシャワー浴などで花粉を洗い落しましょう。湿疹が出来ている時はステロイド外用薬を塗布します。黄砂の付着も同様に皮膚症状が出現することがありますので注意しましょう。
3月は雪が降ったと思ったら夏日に近い気温になったりと、寒暖差に体調を崩す方も多かったと思います。そのような時、じんましんを発症することがあります。蚊に刺されたような赤く腫れた病変が移動して出現します。じんましんと言うと原因として食べ物を心配される方がいますが、原因不明であることが多く、体調不良や睡眠不足、疲れなどが誘因となります。症状が1ヶ月以上持続する慢性じんましんになると、薬を内服してもなかなか完治には至らず、治療が長引くことがあります。
また意外なことに、凍瘡(しもやけ)も真冬ではなく寒暖差がある時期、初冬や初春に出現しやすいです。寒暖差で血管の収縮と拡張が繰り返されることで血行が悪くなります。手、足、耳、頬部に発症しやすく、赤みや腫れ、痛がゆさを伴います。普段よりマッサージで循環を良くし、手袋や靴下、帽子などで保温しておくと予防になります。循環を改善させる内服薬もあります。
皮膚の病気は、スキンケアや体調を整えておくことが治療の一環になりますので、少し心に留めていただけたらと思います。
I.H.