　パキスタン南部カラチで４月１９日、日本人男性５人が乗った車両が襲撃されるテロ事件が発生した。

https://www.yomiuri.co.jp/world/20240419-OYT1T50150/

　同国では３月にも中国人を標的としたテロ事件が連続して起きており、中国人と間違って狙われたのでは、との見方も出ている。

　カラチには2000年から2002年まで駐在していたが、当時はホテルのロビーで見かける東洋人といえば日本人、たまに韓国人がいるという程度だった。市内に酒を提供する韓国料理店があったが、客の大半は日本人だったと記憶する。それが2005年に出張すると日本人が少数派になっていて驚いた。テレビの販売でもその後間もなくして、韓国メーカーをも凌駕して中国企業が市場を席巻する。

　特定の国による急激な経済進出は、えてして関係強化よりも反発を生みやすい。進出先の現地政府が汚職にまみれた体質だと、民衆レベルでの政府への反発が進出企業や国にも向けられる。パキスタンの場合、政府としてはインドとの対抗上、中国との連携を推進してきたが、イスラム同胞のウイグルを抑圧する中国はパキスタンの政府や軍部内に根強く残る原理主義勢力とは相容れない。中国としてもフンジャラーブ峠で接する中パ国境から、イスラム原理主義が国内に浸透するのは悪夢的シナリオだろう。

　中国とパキスタンとの関係は、今後米中・米印・中印関係次第で、オセロゲームの駒の如く変化する可能性がある。

2001年カラチ・パキスタン　－　友人が社長をつとめるプラスチック成型工場を訪問。産業基盤の乏しい同国で立派な経営をしていた。

パキスタンでのテロ事件とオセロゲーム 2024年4月21日

パキスタンでのテロ事件とオセロゲーム　　　2024年4月21日