大好きな絵本 ラブラブ

『 やくそく 』 ニコラ・デイビス 文 ローラ・カーリン 絵 さくまゆみこ 訳













絵本を手にとる時、まずは表紙の美しい色彩や 細やかなタッチをみるものです。

この絵本が送られてきた時… とても表紙を開けようとは思えない暗い挿絵がそこにありました。

閑散とした風景の中、薄暗い暗闇で 三つ編みの女性がしゃがみこんで

どんぐりをさわる絵。

傍らには大きな黒いカバンが影を落としています。














スリの彼女が住むのは、ぎすぎすして、すさんだ街。

ほこりっぽく、なにも育たず、笑顔をみせるひともいない街。

風景はすべてグレーと黒で描かれています。

ある晩、くらい通りで、

おばあさんがもっているカバンをひったくろうとした彼女に、

おばあさんは言うのです。

「おまえさんにやるよ。これを植えるってやくそくするんならね」













カバンをあけてみると、入っていたのはカバンいっぱいの緑色のドングリ。

その瞬間、彼女のなかで何かが変わったのです。

「 私が手に入れたのは、森 かもしれない。」


















それから彼女はその約束を果たすために、街にどんぐりを植え始めます。

来る日も来る日も…










読者はここでハッと、気づくのです。

暗くて陰気だった挿絵が急に明るく美しい色に彩られていることを。


どんぐりは芽をだし、木となり、人々の心を豊かにしていきます。

その緑と人々の笑顔は息吹となり、天に届き、恵みの雨となります。

そして街は樹々で覆われるのです。










その木には、色とりどりの鳥たちが集まり

その美しい色はまるで別の絵本のようです。













街から街へ…約束は果たされていきます。

街が変われば育つ木が違う様子を楽しく描いていて、

そこは 欧米のロータリー交差点だったり、イスラムのブルカの女性が描かれていたり、アフリカかしらと思わせたり、中国の街並みだったり…ここはゆっくり挿絵を楽しみます。








そして一変、

また灰色の夜の街…

彼女は若い泥棒にかばんをひったくられます。

彼女はひとこと言うのです。「 やくそくするんならね 」

そして

その 「やくそく」は、手から手へ、つながっていくのです。





本 毎月、兵庫県加古川市の絵本の店 ジオジオ さんから一冊の本が届きます。
中学生の息子がまだ小さな赤ん坊だった時からのおつきあいです。

その時の 子供の様子や生活を感じ取って
長年の感性で、心の旋律に触れる本を選んで下さいます。

この絵本は4年生になる娘に選んでくださった絵本。
読み聞かせたり、自分で読んだり…一冊一冊、大切に、心に種を植えていきます。
少しずつ大人になって、心に豊かな森ができるといいなと、
そう思っています。





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